シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第3回 東南アジアの不動産投資、今するべき?

REAL ESTATE in SOUTH EAST ASIA REPORT

2018年2月28日

第3回 東南アジアの不動産投資、今するべき?

シンガポール 〜オフィス編〜

シンガポールのオフィス市場は2017年後半から上昇基調であり、今後の供給面積がこれまでの半分以下という状況を見越したオーナーが強気な姿勢を崩さず、公表指数は強含みにて推移している。

 

現状のS-REITのオフィス投資利回りは3%半ば~後半と考えられ、東京都心区の3%前半と比べても大差がないため、今後の価格上昇が期待できる当地でのオフィス投資は良いタイミングと言える。オフィスでも100㎡以下の区画(ユニット)の取引が多く、成熟した中古市場により、比較的少額から安定した投資も可能なことや、株式譲渡のスキーム浸透により流動性が高いことなどが当地の魅力といえる。ただし、東京都心地区の平均空室率3%台と比べると当地は約13%と高く、その点が懸案事項といえる。

 

空室率改善の救世主と期待が寄せられるのは、Co-working Styleを提供するサービスオフィスのプロバイダーである。JLL Researchの調べでは、2014年のシドニーにおける新規需要面積の約86%がサービスオフィスプロバイダーによるとされ、当地も同様の急成長が見受けられる

 

サービスオフィスの勢いは、「デザイン性が高い職場環境」と「創造的なコミュニティ」と「グローバル対応」により実現されている。

 

優秀な人材確保のため企業に求められる職場の快適度は日々そのウェイトを増し、企業はこのハードルを越えるためサービスオフィスを利用する。ガラス張りで明るい室内、ホテルロビーのようなラウンジやヨーロッパ風カフェ、卓球台やゲームコーナーなど、各社特徴を出しつつ競って共用スペース充実させる一方、どの拠点にも同じオリジナル家具を置き、大量発注によるコストの圧縮も実現している。

 

グローバルで活躍するビジネスマンにとって、海外出張先でネットやコピー機、打合せラウンジが自由に、しかも、普段と同様のクオリティで使用できることは非常にありがたい。いまやサービスオフィスは、会社を立ち上げたばかりの人達だけのものでなく、柔軟性や拡張性を求めるGoogle, Microsoftなどの多国籍大型企業が大規模面積を占めている。東京にも有名なサービスオフィスが4拠点一気に開設する予定があり、既存企業のサービスオフィス志向は今後も浸透していくであろう

 

成長性が高いながらも移転リスクが低いサービスオフィスが入居するオフィスビルは、少々投資利回りが低くても中長期的に良い買い物になるものと考える。

プロフィール

浅野 美穂(あさの みほ)

大和不動産鑑定シンガポール現地代表・大和不動産鑑定株式会社執行役員・不動産鑑定士(日本)・MRICS・再開発プランナー(日本)
愛知県生まれ。上智大学法学部卒、マンションディベロッパーを経て不動産鑑定業界へ。2000年(平成12年)鑑定士登録。趣味は家族との海外旅行。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.331(2018年3月1日発行)」に掲載されたものです。

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