AsiaX

PLANTEC ARGONAUT PTE. LTD. あらゆる廃棄物を安定燃焼。革新的な焼却発電プラントを世界に普及させる

廃棄物の種類を問わず安定燃焼でき
有害物質の排出も少ない焼却炉

革新的な焼却炉システムを開発し、注目される企業がある。1967年創業の「プランテック」だ。同社が2017年8月、当地に現地法人を開設した。
プランテックの主力商品は竪型火格子式ストーカ炉、通称バーチカル炉。一般的な焼却炉は、廃棄物を薄く広げ、表面から燃やしていく。しかし廃棄物の種類によって燃えやすさが異なるため、燃え残りが発生しやすい。創業者であり、現会長を務める勝井征三氏は、日本初の機械式焼却炉・玉島プラントの、設計から工事・引き渡しにまで携わった人物。同プラントを建設した1960年当時から、性質が異なる廃棄物であっても効率よく燃やすにはどうしたら良いか悩み、以来、システムの研究開発に邁進してきた。

 

PLANTEC ARGONAUT PTE. LTD.
General Manager
Marketing / Administration
田中 優介氏

そこで同氏が1992年に生み出したのが、バーチカル炉。廃棄物を縦に積み重ね、少量の空気を下から送ってじっくり燃やしていくことで、燃えやすい廃棄物の急激な燃焼を抑制し、水分の多い廃棄物であっても乾燥・炭化させることで、安定燃焼を実現した焼却炉だ。完全燃焼できるため、ダイオキシン等の有害物質はほとんど発生しない。また、排ガスの温度とガス量が安定しているため、熱回収による発電にも適している。

未分別で危険なごみも混ざった埋め立て
デメリットこそ、勝機になる

2009年にドバイ、2017年に当地にバーチカル炉を納入した実績がある。今後の日本の人口減に伴う廃棄物減を鑑み、アジア太平洋地域を主要市場と定め、当地への拠点開設、海外展開の本格化を決めた。

 

「アジアでは、分別の習慣がまだあまり根づいていません。家庭から出るゴミは、紙ゴミもプラスチックも生ゴミも1つの袋にまとめられ、時にはジュース等が入ったままの状態で廃棄されることも。異なる種類の廃棄物であっても効率よく処理できるバーチカル炉は、分別が徹底されていないエリアで、大きな強みになると考えました」と田中さんは話す。

 

バーチカル炉は、生活ゴミ、産業廃棄物、処理が難しいとされる医療廃棄物の全てを焼却できる点も強みだ。「日本の場合、生活ゴミも、産業・医療廃棄物も焼却し、その灰を埋め立てなければなりません。一方、海外、特に発展途上国においては、焼却炉は建設等初期費用から運転費まで費用がかさむため、政府資金で焼却炉を持てない国もあり、その場合、民間企業等に投資を募って建設します。しかし、政府からのごみ処理収入や焼却発電による売電収入だけで、投資家にとって魅力的なビジネスモデルを構築することは容易ではなく、焼却炉はなかなか普及しません。生ゴミや有害な廃棄物をそのまま埋め立て地へ積み上げる国も多いのです」(田中さん)。こういった未処理の廃棄物からプラスチックや金属など転売できるものを拾うウェイスト・ピッカーや、生ごみを狙う鳥類がいるのだが、埋め立てごみの中に医療廃棄物が混入していた場合、感染症が広がる恐れがある。焼却炉の普及を通し、その国の環境意識を変えていくことも重要だそう。

 

今後の目標についても伺った。「当社はエンジニアリング会社ですから、海外展開を図る際、海外の製作会社や工事会社との協業が不可欠です。そのため、コミュニケーションの問題、例えば当社の求める品質に仕上げてもらえるよう、うまく伝えていく苦労はこれからもまだまだあると思いますが、ドバイ、シンガポールでの実績に自信を持って、当社独自開発の焼却炉を、世界に広げていきたいです」。

 

会社プロフィール
PLANTEC ARGONAUT PTE. LTD.
3791 Jalan Bukit Merah, E-Centre @Redhill #04-04, Singapore 159471
+65-6222-1114
http://www.plantec-kk.co.jp