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第8回 リスクを下げる!米国株トレードにおけるポートフォリオの組み方

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今回は、米国株トレードを行う上で重要な「ポートフォリオの組み方」について三方さんに解説していただきます。運用リスクを下げるためにポイントをしっかり理解しましょう。

 

① ポートフォリオとは

 

AsiaX:「ポートフォリオ」っていろいろな分野で使われる言葉ですね。もともとは書類を持ち運ぶための入れ物という意味だと聞きました。

 

三方:米国株トレードでいう「ポートフォリオ」もその意味から派生したもので、「投資銘柄の組み合わせ」のことを指します。

 

資産運用の格言の一つに、「タマゴは一つのカゴに盛るな」という言葉があります。タマゴをある目的地へ運ぶ時に、一つのカゴに全てのタマゴを盛って運ぶと、カゴを落としてしまった時にタマゴが全部割れて、台無しになってしまいますよね。しかし、タマゴを複数のカゴに分けて盛れば、カゴを一つ落としてしまっても、それ以外のカゴのタマゴは無事に目的地まで運ばれることになります。

 

つまり、「大事なタマゴ=お金」を「複数のカゴ=複数の金融商品(この場合は、複数の米国株式銘柄)」に分散することで、「全てのタマゴが割れる=致命的な損失が出る」というリスクを軽減させることができる、ということを「タマゴを一つのカゴに盛るな」という言葉で表現しているのです。

 

② ポートフォリオの組み方
(その1)セクターでポートフォリオを組む

 

AsiaX:投資銘柄をカゴ、お金をタマゴに見立てて考えるのはとても分かりやすくて良いですね。でも、米国株の銘柄といってもたくさんあるのでどう分散すればいいのか……。

 

三方:初心者でもわかりやすいのは、「セクター」で分散する方法でしょう。その一つとして、米国株を「一般消費財(Consumer Discretionary)」「生活必需品(Consumer Staples)」「情報技術(Information Technology)」「金融(Financials)」「ヘルスケア(Health Care)」「資本財(Industrials)」「素材(Materials)」「公益事業(Utilities) 」「エネルギー(Energy)」といったセクターに分類する考え方があります。

 

AsiaX:金融やヘルスケア、情報技術などは、どんな銘柄が入るのか何となく想像がつきますが、例えば、コストコのような小売チェーンはどのセクターに入るんしょうか?あと、航空会社にも興味があったりするんですが……株主優待で航空券がお得になったらいいなぁ、なんて(笑)。でも、どのセクターに入るのかわかりません。

 

三方:コストコやウォルマートなどの小売店は生活必需品(Consumer Staples)に分類されます。プロクター&ギャンブル、コカ・コーラなども生活必需品です。また、航空会社系は資本財(Industrials)です。資本財は他には、ゼネラルエレクトリック、3Mなどがあります。残念ながら、米国株には株主優待はありません。投資の見返りとしては、値上がりによるキャピタルゲインと、配当によるインカムゲインのみとなります。

 

AsiaX:なるほど。違うセクターの銘柄を選べば、「カゴ」を分けることになるんですね!

 

三方:その通りです。先に上げたセクターはそれぞれ、「景気後退時に強いディフェンシブ株(生活必需品・ヘルスケア・公益事業)」と「景気敏感株(一般消費財・情報技術・金融・資本財・素材・エネルギー)」に分けることができます。

 

例えば、投資銘柄を2つ選ぶ場合は、「ディフェンシブ株」と「景気敏感株」のそれぞれの中から1銘柄ずつ選択することによって、リスクを分散できるというわけです。

③ ポートフォリオの組み方
(その2)買いと売りでポートフォリオを組む

 

三方:もう一つ、ポートフォリオの組み方で大事なポイントをお話ししますね。株式トレードでは、「買い(値上がりすれば利益が出る)」と「売り(値下がりすれば利益が出る)」という2つの売買手法があります。

 

AsiaX:買いは、例えば1株1,000円の時に買ったA株がその後1,200円の時に売れば利益が出る、ということですよね。でも、売りの方は……「値下がりすれば利益が出る」ってどういうことですか?

 

三方:例えばB株が1,200円の時に100株売ると12万円になりますね。その後B株が1,000円になった時に100株買い戻したら10万円なので、その差額から売買手数料などが差し引かれた残りは利益になる、というわけです。

 

AsiaX:株価が上がる時だけじゃなくて、下がる時にも利益を出すやり方があるんですね。今まであまり考えたことがなかった発想です。

 

三方:2008年のリーマンショックのような大きな株価の乱高下が発生した場合、全ての銘柄が同時に下がる傾向にあります。その時に、例えば、上昇トレンドにあるA株を買いで保有し、下降トレンドにあるB株を売りで保有しておくことで、大きな株価の乱高下があったときに、「A株は損失が出て、B株は利益が出たが、A株とB株の損益通算はプラス」という状況や、「マイナスが出てしまったが、相場全体の損失幅よりはかなり小さく抑えることができた」という状況を作り出すことができます。

 

また、買いと売りの保有金額比率を調整することで、相場全体が上がるか下がるかという予想が外れたとしても、損失を軽減することが可能です。これに加えて、前述の「ディフェンシブ株」と「景気敏感株」の考え方を組み入れることも可能です。

 

AsiaX:なるほど……ポートフォリオの組み方も、いろいろと奥が深そうですね。

 

三方:投資銘柄をうまく組み合わせ、いかにリスクを管理しながら運用(分散投資)を行うかが、投資活動で途中退場をせずに、トータルで最後に勝つ(投資で利益を出す)ためには重要であると言えます。米国株トレードを行う方は、ぜひ参考にしてくださいね。

 

 

今回のまとめ

◆「タマゴは一つのカゴに盛るな」でリスク軽減
自分の大切な資産というタマゴをできるだけたくさん目的地へ運ぶためにはカゴを分ける、つまり投資先を複数に分けることが重要。

 

◆ポートフォリオの組み方で上手にリスク分散を
米国株についてのニュースなどでもしばしば登場するセクターでの分類を使って「ディフェンシブ株」と「景気敏感株」を組み合わせたり、上昇トレンドにある「買い」の株と下降トレンドにある「売り」の株を組み合わせたりすることで、株式投資におけるリスク分散が図れます。