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Daiwa Kantei International Pte. Ltd. 現地では根付いていない建物・環境・地震リスク調査も実施。海外の不動産価値をわかりやすく鑑定

不動産鑑定からデューデリジェンス調査まで1社で行う、円滑なサービス

不動産鑑定の大手である大和不動産鑑定が、2017年7月、シンガポール現地法人を設立した。日本国内の不動産価格は、リーマンショック後の2009年以来2年ほど落ち込み、2012年前後から復調するも、2014年以降は停滞気味に。国内に漂うこの手詰まり感から多くの日系企業が海外進出に転じたことで、同・日本本社はここ3年、海外事業を推し進めてきた。「オーストラリアやイギリス、中国、韓国、ベトナム、マレーシアなど、世界15ヵ国の現地の鑑定会社とパートナーシップを組みながら海外の動向を探る中で、シンガポールを起点に東南アジア諸国へと展開を広げる顧客がとりわけ多いことから、彼らのサポートを今まで以上に密に行うべく、シンガポールでの現地法人設立に至りました」と浅野さんは話す。

 

Daiwa Kantei International Pte. Ltd.
Global Office Exective Officer
浅野 美穂氏

 

強みとするのは「ワンストップサービス」。不動産鑑定士だけでなく、一級建築士、土壌汚染調査技術管理者を社内に有し、依頼を受けた建物の状況や将来的にどのくらいの修繕が必要になるのか、あるいはアスベストの問題についてなど、鑑定評価から建物・土壌調査までを一貫して行えるサービスだ。通常は各々専門会社が存在するため別々に発注せざるをえず、一連の査定が円滑に行える同サービスは、日本国内でも人気が高い。「国が違えば、制度が異なります。シンガポールは地震がほとんどありませんし、埋め立て地が多いため土壌汚染をそこまで気にしていない向きもあり、建物状況調査や土壌汚染管理調査を行う制度自体がまだあまり根付いていません。たとえば当地では地震調査が調査項目に入っていないのですが、日本の投資家が東南アジアに投資をしようとする場合、地震調査結果等も合わせて検討されますから、当該国では必要ないとはいえ、お客様には結果をお伝えする必要があります」(浅野さん)。こういった国による制度の違いを熟知しているのは、海外案件に早くから挑戦してきたからこそ。

現地の情報を逐次キャッチアップ。日系企業もローカル企業もターゲットに

当地の不動産価格や住宅・オフィス賃料は2012年以降、下降線をたどっている。そのなかで従来どおり現地パートナー企業と提携しながら海外展開をするのではなく、現地法人化するメリットを尋ねてみた。「日本と現地を行き来するだけでは、情報収集においてタイムラグが発生します。この前まで何もなかった場所にホテルがオープンしていた、気づけば鉄道が走っていたということが頻繁にありますから、自分の目と耳で街が変わりゆく姿を追うことは非常に大切です。シンガポールの不動産価格や賃料の値下げ傾向によってオフィスが借りやすくなり、競合が少ない今こそ挑戦すべき時だと考えました」。そう話す浅野さんは、タンジョンパガーにオフィス設置を検討中。そう、実はまだオフィスがない。「今後は東南アジアから日本の不動産投資を行うローカル企業もターゲットとしていきます。そのためにも、ホームページを充実させるなど、サービス内容はもちろん、我々がここにいることを発信して認知度を高めていかなければ」と展望を話す。土地の用途、顧客ニーズを把握したうえで、効率的な評価を行う。そんな日本企業ならではのきめ細やかさをアピールしながら、躍進中だ。

 

会社プロフィール
鑑定評価ほか、日本の基準・慣習との整合性・相違についての説明を実施。単なる調査結果報告に留まらないコンサルティングサービスを提供。
Daiwa Kantei International Pte. Ltd.
電話: 8149-5332
E-mail: 3434.asano@gmail.com
http://daiwakantei.co.jp