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ABEJA SINGAPORE PTE.LTD. ディープラーニングのプラットフォームを提供、企業の課題解決に貢献

ディープラーニング黎明期からビジネスへの応用を目指す

AI(人工知能)技術の1つである機械学習を発展させた「ディープラーニング」。膨大な量のデータからどの特徴(傾向)に目をつけるかという、データを適切に表現する特徴量を自ら見つけ出すことで、効率的なデータ分析を実現する。2012年9月創業のABEJAは、データ分析を誰もが簡単に行えるよう、この技術をプラットフォーム化。多様な企業にこのディープラーニングを主軸としたABEJA Platform導入を促し、協業関係(エコシステム)を構築しながら、彼らの課題解決に寄与している。

 

ABEJA SINGAPORE PTE.LTD. ダイレクター 外木直樹氏

 

まだ新しい技術であるディープラーニングは、2006年にトロント大学のジェフリー・ヒントン教授らが最初に論文を発表し、2012年頃から研究が活発化。同技術に早くから着目し、ビジネスに応用しようとした同社は、日本国内では稀有な存在だった。ディープラーニングに対する認知度が極めて低かった時代に創業し、その内容や目的を説き、活用術を提案してきたことで得たノウハウは大きな強みになっているという。

 

プラットフォームの活用方法はさまざまで、たとえば7月に販売が開始された製造業向けパッケージでは、部品等の検品や調達数管理、製造数の管理や倉庫の在庫管理、製造装置の故障予知などに役立てることができる。

ディープラーニングを推進するシンガポールに注目

現在、「ABEJAPlatform」のパートナー企業は国内外問わず40社以上。また、小売・流通業界に向けたSaaS型(必要な機能を必要な分だけ利用できるようにしたソフトウェアまたは提供形態)の「ABEJA Platformfor Retail」の導入件数は50社300店舗以上(2017年6月末時点)にのぼる。

 

同社は、2017年3月にシンガポール現地法人を設立。シンガポールを選んだ理由は、成長著しいASEANのハブであり、企業にとってテストマーケティングがしやすく、ディープラーニングなどの新しい技術の導入も比較的容易にできることを挙げている。当地では、AI活用を推進する国家プログラム「AI.SG」が始動し、AI関連企業との連携を積極的に進めていく方針が2017年5月に発表されたばかり。政府機関、民間企業とも、AIに対する関心が非常に高いものの、関連サービスの具体的な導入はほとんど行われていない実情があり、同社にとってはむしろ追い風のようだ。

 

また当地は少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少していることもあり、健康寿命を延ばすための取り組みが社会的に重要と言える。ABEJAとしてもヘルスケア分野の企業とのパートナーシップの強化を図る考えだ。

 

「一方で、われわれが提供するのはプラットフォームであるため、業界問わず、その使い方をユーザー自身にも考えてもらうことが可能です。時に、クライアントが予想もしない使い方を提示してくださることがあるんです。イノベーションの可能性を秘めていると思うと、とても楽しい。シンガポール政府が提唱する、最新IT技術の導入で暮らしやすい街を作ろうというスマート・ネーション・プログラムに切り込むなど、日本ってやるじゃないかと驚かせたいですね」と外木氏は話す。シンガポールでの営業活動を通じて、当地に拠点を持つグローバル企業へもアピールしていく。

 

会社プロフィール
「ディープラーニング(深層学習)」技術を活用し、多様な業界、シーンにおけるビジネスの効率化・自動化を促すベンチャー企業。
ABEJA SINGAPORE PTE. LTD.
29A Cuppage Rd #02-00 Cuppage Terrace, Singapore 229456
TEL: 6420 6816
Email: info@abeja.asia
https://www.abeja.asia