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阪急阪神ホテルズ (Hankyu Hanshin Hotels) 訪日外国人旅行客の需要を取り込みつつ、ASEAN地域でのブランド力向上を狙う

ASEAN地域の訪日需要を安定的に取り込む

訪日中国人などによる大量のまとめ買いを意味する「爆買い」という言葉ができるなど、訪日外国人による日本での消費活動は近年注目されてきた。最近では、韓国や台湾などの東アジア、タイやフィリピンなどの東南アジアからも多くの人が訪れており、ホテル・旅行業界では特に、これら訪日外国人需要を安定的に取り込もうと各社がしのぎを削っている。阪急阪神ホテルズも例外ではなく、訪日外国人向けサービスの拡充や海外営業などに注力しており、2016年11月21日に、同社にとって海外初の営業所となるシンガポール営業所を開設した。

 

阪急阪神ホテルズ シンガポール営業所 マネージャー 金井 亮氏

 

同社が運営する阪急阪神第一ホテルグループは、東京や大阪を中心に直営ホテルを19棟有しており、これらを利用する外国人宿泊客は年々増加している。2012年度は宿泊者全体に占める外国人比率は12.7%だったが、2016年度には37.3%にまで上昇、現在では同社にとって外国人宿泊客は重要な収益源になっている。しかし、現状の外国人宿泊客は中国、韓国、台湾、香港といった東アジアの国々がほとんど。そのため、アジア地域の経済ハブであるシンガポールに拠点を開設し、シンガポールのみならず周辺のベトナム、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシアなどのASEAN地域からも顧客を取り込むのが狙いだ。

グループ会社とも連携、現地に根付いたブランド力向上を狙う

シンガポールでの事業内容は大きく分けて4つある。①アジア地域におけるリアルタイムの情報収集②現地旅行代理店との関係強化による訪日需要の取り込み③ASEAN地域に本社を構える企業に対する営業力の強化④旅行博覧会など各種展示会への参加だ。中でも最も重要視しているのがアジア各国の情報収集で、同じくシンガポールに進出している阪急阪神ホールディングス傘下の3社(阪急阪神プロパティーズ、阪急阪神エクスプレス、阪急交通社)とも連携する。「出張ベースではなく、海外に拠点を持っているからこそできる現地での密な人的ネットワークの構築が、今回の拠点開設の第一義です」と金井氏は話す。これらの事業を通じて、ASEAN地域におけるHankyuやHanshinのブランド力向上を狙う。

 

また今後の課題の1つとして、現地スタッフの採用を挙げている。現在は日本人駐在員1人で業務にあたっているが、今後の事業展開を考えると現地スタッフの採用は必須。日本国内と現地では雇用慣習などが異なるが、情報を集めながら今後の事業展開を進めていく考えだ。

 

会社プロフィール
阪急阪神ホールディングスの傘下でホテル事業を担う、阪急阪神ホテルズのシンガポール営業所。
阪急阪神ホテルズ シンガポール営業所
80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
TEL: 6420 6816
www-a.global.hankyu-hotel.com/group