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第3回 デモトレードで練習しよう(後編)

3回目となる今回は、決済のタイミングなどについて見ていきます。それと同時に、トレードの考え方についても説明していきます。
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編集I:前回は、デモトレードでエントリーするところまで解説していただきました。今回は決済のタイミングについて見ていきたいと思います。

 

前回購入したADP株は、購入時点で101.71ドルでした。4月27日頃までは上昇しましたが、5月5日時点では99ドル台に下落しています。この場合、どのタイミングで決済すればいいのでしょうか。

 

三方:利益確定のタイミングには複数のパターンがありますが、基本の1つとして「20日移動平均線が40日移動平均線を下回り、40日移動平均線が水平、または下向きになったとき」というものがあります。移動平均線とは、その日から過去一定期間の終値の平均値を1日ずつずらしてグラフ化したもので、テクニカル分析の代表的な指標です。ただし今回についてはそのパターンではなく、例外である「決算日の前に利益確定をする方法」での決済となりました。

 

なぜなら米国株式では、その企業の決算日に株価が大きく変動することがよくあるからです。これは、決算の内容(ファンダメンタル)を見て売買する人が多いということを指します。決算の内容が一般的に見て良い結果であっても、投資家の期待を上回るものでなければ売りが入り、大きく下がってしまうこともあるのです。もちろん、良い結果の場合は急騰することもありますが、決算内容を予測することは出来ないので、一か八かに賭けるより、一度利益確定をしてしまうことが短期投資の場合は得策です。

 

今回は決算日の前々日(5月1日)に、$104.08で決済しました。利益は$20.81、利回り+2.33%となりました(決済手数料は除く)。目標の利回りには達していませんが、その後の大きな暴落を避け利益を確保することができました。

 

編集I:自分が保有している、またはこれから買おうとしている銘柄については、しっかり決算の日程を把握しておくことが大事ですね。各企業の決算発表のスケジュールは日本の証券会社も発表しているので、ウェブで見るようにします。

 

4月7日に101.71ドルでエントリー、5月1日に104.08ドルで決済しました。

勝率40%でも利益は出せる。
それまではしっかり練習!

編集I:今回は利益を出すことができましたが、決算発表以外でも何か突発的な出来事が起きて株価が暴落することもあり得ますし、勝率100%を達成するのはほぼ不可能なのではないかと思います。中長期的に見たとき、どういった考え方でトレードに臨めばいいのでしょうか。

 

三方:きちんと損切りしながら利益を積み重ね、トータルで勝つという考え方が必要になります。具体的に私のスクールでは、利益と損切り額の比率が2:1になるようなトレードを徹底するよう指導しています。例えば、株価が100ドルの時にエントリーした場合、110ドルになったら利益を確定、95ドルになったら損切りをするということです。このルールを守ってトレードすることで、勝率40%でもトータルで見ると利益を出すことができるのです。

 

編集I:勝率40%!負けるトレードのほうが多くても利益を出せるって、ちょっと意外です。目先の株価の動きに惑わされず、一貫性のあるトレードで着実に成果を出すことが大事ということですね。

 

三方:はい。トータルで勝つためには実際にお金を使ってトレードする前にしっかり練習することが大事になります。私が紹介しているルールはシンプルですが、実際にやってみるとなかなか損切りができないということも多いのです。

 

編集I:その場のスリルを求めて投資するのではギャンブルと変わりませんよね。きちんとしたトレードをするためには、やはりある程度の訓練が必要ということでしょうか。勉強になります。

 

トレードの記録を残し、検証しよう

三方:自分がどのタイミングでエントリーし、どこで決済したか記録を残すことも大事です。トレードの履歴を見直していくうちに、自分はどんな場面で失敗することが多いのか、その人の癖や弱点も見えてきます。同じ失敗を繰り返さないよう、次回以降に過去の経験から学んだことを役立てるのも、トレードの上達には欠かせません。私のスクールでは取引履歴の管理ツールも提供しており、過去のトレードを検証するのに役立てることができます。

 

トレードの結果を表にすることで、自分の癖も見えてきます。

 

編集I:十分な知識や経験もないのに、大儲けしようとしていきなり大金をつぎこんで損失を出してしまったり、我流で続けて変な癖がついてしまったりといったことは避けたいですよね。

 

三方:そうですね。トレードの考え方や練習の仕方について学ぶことは大事です。
2回に渡ってデモトレードについて説明してきましたが、次回は本番の取引に挑む前の準備についてお話したいと思います。

 

編集I:それまでにしっかり復習、練習しておかないといけないですね。次回もよろしくお願いします。

 

 

今回のまとめ

◆企業の決算日前には一度決済を
決算の内容によって、その企業の株価が大きく上下することはよくあります。大きな損失を出さないよう、決算発表日前には一度決済したほうが安全です。

 

◆勝率40%でもトータルで利益は出せる
利益と損切り額の比率が2:1になるよう徹底すれば、勝率40%でも利益を出すことができます。自分のトレード内容について検証しつつ、練習することが大切です。