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第2回 デモトレードで練習しよう(前編)

前回は、銘柄の選び方や購入量の計算方法について説明しました。今回は実際に投資する銘柄を選び、購入量を決定、そしてデモトレードでエントリーするまでの流れについて解説していきます。

 

編集I:それでは、前回に続いて米国株式投資のポイントについて教えていただきたいと思います。しかし、いきなり本番の環境でトレードするのはやっぱり不安なので、まずはしっかりデモトレードで株式投資の流れを把握しておきたいと思っています。よろしくお願いします。

 

三方:はい。それではまず、銘柄選びから始めましょう。私のスクールでは、前回紹介した米国株式の情報提供サイトであるFinviz.comを使い、有望なものを観察銘柄として複数ピックアップし、月ごとにお知らせしています。観察銘柄のうち、チャンスが来たものについてエントリーするというのが基本的な流れになります。

 

編集I:観察銘柄って、いくつくらいあるのですか?

 

三方:月によって違いはありますが、今年3月の場合、買い銘柄が20、売りが16くらいでした。値動きが出そうなものに絞っているので、トレードする人の負担も少ないと言えます。
今回は、24種類を観察銘柄としてウォッチしていきます。観察銘柄の抽出方法はFinviz.comで、ファンダメンタルとテクニカルの両方の面で決まった条件を入力して絞り込んでいきます。これは知っていればワンタッチでできることなので、とても簡単です。

 

編集I:これらの銘柄を毎日チェックすればいいということですね。実際に売買する銘柄はどうやって決めればいいのでしょうか。

 

三方:売買する銘柄は、観察銘柄の中で、チャートに買いのサインが出ているものを選びます。買いのサインには以下の3つがあります。
①上昇トレンドに転じる時
②ボックス相場の抵抗線をブレイクした時
③上昇トレンドの中で支持線にぶつかって反転した時

ボックス相場とは、一定の株価の範囲内で、株価が上がったり下がったりを繰り返す相場のことです。ボックス圏、保ち合いとも言われます。
また支持線とは、株価がこれ以上は下がりにくいという境界線のことです。多くの投資家がこの支持線を意識しており、株価が支持線に近づくと、買い注文が入り、株価が上昇する傾向があります。これと反対のワードは抵抗線になります。
今回の観察銘柄では、Automatic Data Processing(ティッカーシンボル:ADP)で、2017年4月7日に③の買いのサインが出ているので、この銘柄を買ってみましょう。

 

 

編集I:エントリーの前に購入量を決める必要がありますね。

 

三方:前回紹介した公式に基づいて計算してみましょう。公式はこうでしたね。
適切な購入量(株式数)=(取引当たり許容リスク(%)×投資資金)÷(購入金額 – 損切り価格)
取引あたりの許容リスクについて、上級者になるまでは1%にしようと前回説明しました。今回の予算は3,000Sドルなので、計算式は以下のようになります。
(1%×USD3,000)÷(USD101.98–USD99.79)= 13.6
ということで、13株を購入してみましょう。
適正な損切価格を決めるポイントはいくつかあり、私が教えるスクールでは決まったルールで損切価格を決めています。今回はそのルールに従って損切り注文を入れます。

エントリーのコツは?

編集I:いよいよエントリーですね。どのタイミングでエントリーすればいいのか、コツを教えてくだ
さい。ニューヨーク証券取引所での取引は、日本時間で午後10時半から始まります。この時間帯に合わせたほうがいいのでしょうか?

 

三方:米国株のトレードの場合、時間帯は必ずしも重要ではありません。重視するべきポイントは、狙った範囲の株価で購入をすることです。ニューヨーク証券取引所の取引時間は、サマータイム(3月第2日曜日~11月第1日曜日)の間は、日本時間の10:30PM~5:00AMです。
エントリーする時は、取引開始直後の10:30PM~12:00PMのリアルタイムの株価を見て問題なければ、成行注文(即座に売買する注文方法)で買っていいでしょう。エントリーのタイミングについても、スクールで詳しく教えています。もし、その時間に画面を見ることができなければ、事前に逆指値注文で予約を入れておきます。逆指値注文とは「この価格を到達した時に、この価格で注文を入れる」という意味です。
もし逆指値注文を使わず、成行注文で予約をしておくと、取引開始と同時に何らかのニュースの影響で株価が一時的に大暴落した場合でもエントリーをしてしまうため、リスクがあります。また、エントリー後には損切り注文を逆指値注文(成行)で必ず入れておきます。これにより、もし暴落した場合でも、事前に決めた損切り価格に到達した時点で自動的に売却されます。そのため、ずっと画面に張り付いている必要はありません。夜はしっかり寝てくださいね。

 

 

編集I:時間帯に縛られずトレードできるなら、会社で働いている人でも始めやすいですね。

 

三方:はい。それでは、先ほど決めた購入量で実際にエントリーしてみましょう。
2017年4月7日の日本時間10:10PM、ADPに成行注文を出し、株価USD101.71で、USD1,322.23分購入しました。その後に、USD99.79で損切り注文を逆指値注文(成行)で入れました。

 

編集I:デモトレードなのは分かっていますが、何か緊張しますね。ちゃんと利益を出せるでしょうか。

 

三方:最初ですし気楽にやりましょう。決済のタイミングについては、また次回解説します。

 

編集I:はい、次回も楽しみにしています。よろしくお願いします。

 

今回のまとめ

◆売買のタイミングは3パターン
売買する銘柄を選ぶには
①上昇トレンドに転じる時
②ボックス相場(価格が一定の範囲内で、上昇・下落を繰り返す相場)で、どちらかの方向に抜けた時
③上昇トレンドの中で、支持線(株価がこれ以上下がらないよう抵抗するライン)にぶつかって反転した時、
の3パターンがあります。

 

◆エントリー後は必ず損切り注文を
損切り注文を逆指値注文(成行)で入れておくことで、もしその株が損失を一定以上に出したり、暴落したりしても、損切り価格に達した時点で自動的に売却されるので損失の拡大を防ぐことができます。