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第2回 日本における “戦後最大級”の「働き方改革」

今回は、近年の雇用労働環境の大きなうねりを捉えるために日本で強力に推し進められている「働き方改革」について触れていきます。

 

日本では終身雇用・年功序列などの旧来の雇用慣行が崩壊して久しいですが、いまだに企業には長時間労働の悪弊がはびこり、永らく日本経済の労働生産性向上の足かせになってきました。2016年9月27日、政府は安倍首相みずからが議長となる「働き方改革実現会議」を開催し、労働制度改革を国家の最優先課題のひとつとして位置づけ、雇用慣行や労務管理に大胆なメスを入れています。9つのテーマが設定され、その中でも企業の労務管理に抜本的な改革を迫る主なテーマは下記の3つです。

 

1.長時間労働の是正
・時間外労働の上限規制
・形骸化した36協定の見直しなど

 

2.労働生産性の向上と賃上げ
・休暇取得促進などを通じた総労働時間の短縮など

 

3.同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
・法律改正とガイドラインの策定など

 

一連の労働制度改革によって、労務管理の重要性は間違いなく高まっていきます。すなわち労務管理が、財務諸表や決算書といった経営指標では判断できない隠れた経営リスク要因になりかねません。これに伴い、企業人事の4大業務といわれる採用・評価・教育・労務の比重も必然的に労務の重要性が増すなど、日本企業の人事戦略は大きな転換期を迎えます。

 

では、今後求められる理想的な人事戦略とは何か?次回6月号でご紹介いたします。