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日本人の奥ゆかしさがプレゼン下手の元凶(?)

英語でのプレゼンテーション能力を伸ばしたい方に、ぜひ伝えたいエピソードからお話ししたいと思います。

 

私は30歳のとき、日本企業からグローバル企業に転職しました。入社後とにかく違和感を持ったことがあります。それは、Non-Japaneseたちの自己アピールが強く、見ていて嫌悪感を覚えたことです。会議などでやたら発言、発表したがる。その発表プレゼンも堂々としているのを通り越して、不遜なほど自信満々。人によっては相当ブロークンな英語にも関わらず、そんなことは意にも介さずアピールしまくる。しばらくして気づいたことですが、実はそういう人ほど評価が高かったのです。これにはびっくりするとともに、とても悔しかったのを憶えています。

 

そこで私は、「じゃあ自分も彼らのように振る舞ってやろうじゃないか」と考えました。ちょうど本国からCEOが来日する機会があったので、手を挙げて「私が考える当地域の戦略提言」というテーマでのプレゼンを申し出ました。おそらく日本の企業であれば「何を若造が生意気に!」と言われてしまうでしょう。しかしグローバル企業の場合は違い、懐が深かった。「じゃあ、やってみろ」ということになりました。当時まだ英語力もおぼつかない中、彼らの『過剰なほどの自信満々スタイル』を真似て、プレゼンしてみました。

 

結果はどうだったか?今思うと、内容自体は大したことはなく、かつ英語も相当たどたどしかったと思います。しかしプレゼンが終わってから、私に対する周囲の目がガラッと変わるのを感じました。「この若者、やるじゃないか」と。そのとき私は気づいたんです。グローバルなシーンでプレゼンすることは、ある意味『オーディション』なんだと。そのオーディションを突破することができたことは自信になりました。

このエピソードから言えることは、大きく2つあります。

 

1つは、グローバルなビジネスシーンにおけるプレゼンの重要性です。相手は人種や文化など多種多様です。日本のように「阿吽の呼吸」なんていう概念は存在しません。発信しないと何も伝わらないのです。だからこそ発言すること、自らプレゼン機会を作り出すことがとても重要視されているのです。

 

もう1つは、世界で評価されるプレゼンスタイルを理解しておくことの必要性です。日本人にありがちな『奥ゆかしく遠慮がち』に話すことは全く評価されません。ここが日本人の価値観と大きく違うところです。日本において偉そうに話すのはあまり好まれません。「なんだ、あいつ。生意気に」と思われるリスクもあります。一方でグローバルシーンでは、自信なさげに振る舞うのが『悪』であり、『罪』でさえあるのです。彼らは「自信なさげにプレゼンされたらこっちが不安になる。大事な聞き手の時間を奪っているのにそれは失礼だろう」と感じます。自信ありげなプレゼンこそが相手を安心させ誠実さも感じさせられる、というのがグローバル・スタンダードなのです。

 

とはいっても、「英語力が十分でないから英語プレゼン自体に自信が持てない」という人もいるでしょう。その気持ちは痛いほどわかります。そういう人は、上記の『ブロークンな英語で堂々とプレゼンするNon-native』を見習ってみてください。ビジネスシーンで大事なのは、あなたの発するメッセージであり、熱意です。それらがしっかりと伝われば相手は動いてくれるし、あなたも評価されるはずです。

 

まずは、『良いプレゼン』の前に『良さげなプレゼン』を目指してみてください。自信を持ってプレゼンするのでなく、自信ありげに振る舞ってみましょう。あなたのグローバルシーンでの評価が、きっと一変することでしょう。

 

本コラムの著者西野氏からのメッセージビデオはこちらから。

 

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