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東急ホテルズ(TOKYU HOTELS ASIA PTE. LTD.)グループと提携しインバウンド強化 今後は中東や欧州もカバー

東急グループの一社としてホテルの運営などを担う東急ホテルズは、海外からの観光客の誘致を強化するため昨年12月にシンガポールに現地法人を設立した。同社の海外拠点は、ニューヨーク、上海に続き3ヵ所目になる。レジャーとビジネスの両面から訪日旅行への需要をキャッチアップする狙いだ。

 

同社のホテル利用客数における外国人の比率を地域別で見ると、中国を含む東アジアが最も多いのが現状。今後は、人口が増え所得水準も向上している東南アジア各国へのアプローチを強化する。

 

ASEAN各国へのアクセスの良さに加え、日系企業の拠点が多く、出張や研修などでの訪日旅行の需要が旺盛なことも、シンガポールに現地法人を設立した理由。日本を訪れるシンガポール人が増加していることも、同社にとっては追い風になる。

 

シンガポールでの陣容は現在2名で、今後人員は拡充していく方針という。当地での旅行博や展示会などにも参加しプロモーション活動を展開、2020年までに東南アジアからの旅行客の数を30%以上増やすことが現在の目標。さらに今後は、シンガポール拠点を通じて中東や欧州もカバーしていく方針だ。

 

 

「欧州からの旅行客は、シンガポールを経由して日本を訪れることも多いといえます」とマネージング・ダイレクターの重野陽平氏は説明する。シンガポール拠点を通じて、こうした人の流れもキャッチアップしていく。

東京五輪に向け再開発進む渋谷、観光地としての魅力をアピール

同社が日本で展開するホテルには、高価格帯の「東急ホテル」、駅に近くビジネスでの利用に適した「エクセルホテル東急」、比較的リーズナブルな「東急REIホテル」の3ブランドがある。「3種類のブランドでは宿泊料金の価格帯もさまざまです。ビジネスとレジャーの両方で、お客様の多様なニーズに対応できます」。サービスの利点について重野氏はこう話す。

 

日本の都市の中で、旅行先として特に人気があるのはやはり東京や北海道。また東急グループの本拠地でもある渋谷では、2020年に開催される東京オリンピックに向けた再開発が進んでおり、現在も渋谷駅南街区プロジェクトとしてJR渋谷駅の改装工事が進められているほか、大型商業施設も建設されている。渋谷109もショッピングスポットとして海外の旅行客からの人気が高いという。こういった施設を海外向けの旅行パッケージに組み込むなどの取り組みを通じて、グループとしてのシナジーを発揮したい考え。

 

このほか、2017年に運行を開始するJR横浜駅と伊豆急下田駅をつなぐ観光列車も海外向けにアピールする方針。運営する伊豆急行と東急電鉄とも連携し、温泉など伊豆の魅力を海外に発信、観光客の誘致につなげる狙いという。東急グループの総合力も生かし、成長市場である東南アジアでの展開に力を入れていく。

 

会社プロフィール
ホテルの経営および運営受託を行う東急ホテルズのシンガポール現地法人

TOKYU HOTELS ASIA PTE. LTD.

111 Somerset Road, suite 09-02B, Triple One Somerset, Singapore 238164