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おもてなし力編 最終回 おもてなしリーダーは、 教育者であれ!

経営者や組織のリーダーは部下の教育者でもあるため、自ら学び教えることが重要です。リーダーとして学ぼうと本を読んだり、先輩方のお話を聞いたりしていた時にふと頭に浮かんだことがあります。それは「学問ってなんだろう?」という素朴な疑問です。

 

私の場合は、任命される前からリーダーとしての心構えを身に付けたくて、主に読書を重ねながら自分の頭で考え、考えても分からないことを先輩リーダーに学んだり、歴史上の偉大なるリーダーたちに学んだりしてきました。確かに独学ではありましたが、ずっと「学問ってなんだろう?」と自問し続けてきましたので、答えが出たのです。

 

それは、「人格を磨く」ということ。この執筆を通じて言い続けていることですが「人格を磨く」ということが学問の本質である、と分かったのです。

 

私は少年時代、経営者のほか教育者にも憧れていました。「人を育てるのってカッコいい」と思っていましたが、大学に進学する頃には今の仕事である建築の虜になっていたので、建築を学ぶ大学に進み今日に至っています。しかし、経営者としてリーダーシップをとり続けているうちに、またもや大きな気づきがありました。それは、「経営者とは教育者である」ということです。社長とは大人の学校の校長先生ではないかと思えてきたのです。

 

こう思うようになってから、私は教育者として自分を高めていくのは当たり前ですが、自分を支えてくれる幹部を含めたリーダーたちも、教育者としての自覚を持ち、学力を身に付けてもらいたいと思うようになり、実践し始めました。

 

私は彼らに、学校を卒業して社会に出てからが勉強の始まりであり、「本当の学び」の連続であると明確に伝えています。今の日本ではそういうこと自体を、学校教育の中で誰も子供たちに教えていません。教科書に載っていることよりも、これからの状況に対しての心の持ちようの方が圧倒的に重要なのに。

 

私は会社のスタッフに入社後、あたかも学校の校長先生のように、自分たちの会社の方針だけではなく、社会人としての気構えに始まり、実に多くの事を徹底して伝えます。誰も教えてくれなかったことばかりなので、20代のスタッフだけでなく30代、40代でも最初は戸惑っていますが……。

加えて、リーダーになって学ぼうとすると、謙虚さが要ることがわかりました。違うジャンルの先輩方、尊敬する方々から学ぶ事は当然ですが、部下や子どもたちからでも学ぶ素直さも重要です。今の社会には謙虚さを持ち、素直な心で誰からもどんなことからも学ぶ力のある大人は少ないような気がします。一般的に、リーダーになると部下の育成や指導をするという立場にとらわれすぎて、学ぶことを怠る方が多いようですが、リーダーになった以上それではいけません。リーダーであるからこそ学び続け、どんな人からでもどんな事柄からでも学べる力が重要なのです。これはある意味、能力を超えた努力だと思います。バカ正直なほど学び続ける力こそが、人格を磨くことになるのだと思います。

 

しかし、多くの人は社会人になってある程度の仕事を覚えると、自分の小さな経験を元にしたり誰かのマネなどをしたりしつつ、それなりの振る舞いをしがちです。中にはマニュアルを詰め込んだ知識で部下を指導しているリーダーもいますが、そんなものはほとんど役に立ちません。

 

社会人が学ぶというのは真剣勝負です。さらにリーダーのあなたは、その上を行かなければならないのです。その上を行くだけの学びがあるからこそ、リーダーとしての自信が出てくるのではないでしょうか?自らを信じる力が「自信」であり、自分の成長を実感できたときにそれまでの行いが人格の向上と一致し、そして誇りとなるのです。