AsiaX

シーアールイー(CRE Asia Pte. Ltd.)物流不動産事業で50年の実績 国内でのネットワーク生かし海外へ

東南アジアでの経済成長に伴い物流ビジネスも活況を呈する中、物流施設の賃貸、管理、開発などを手がけるシーアールイーは今年6月、シンガポールに現地法人を設置した。

 

日本でおよそ50年間にわたり、物流不動産に特化した事業を展開してきた同社、現在の売上は全て日本国内のものになる。長期的な視点に立てば、人口減少などに伴い、国内での借庫ニーズの減少が予想される中、経済成長の続く東南アジアへの進出を決めた。

 

シーアールイーの100%子会社であるストラテジック・パートナーズの代表取締役で、シンガポール拠点の運営に携わる伊藤毅氏によると、税率の低いシンガポールを経由して東南アジアの国々に投資できる点や、情報が集まりやすい点などが利点。具体的な開発プロジェクトがある国は、タイやベトナム、インドネシアなどだという。

 

現地での土地開発に向けローカルのビジネスパートナー発掘を

伊藤氏によると、海外展開でまず必要になるのが、ローカルのビジネスパートナーを見つけること。現在、現地企業との関係構築に向け、出張で日本とアジア諸国を飛び回っているという。「土地に関する現地情報を集め、開発許可の取得など地元行政との手続きを進めていくには、ローカルのマーケットに精通したパートナーが必要です」。シーアールイーからは、1,000社以上にのぼる日系クライアントの海外における借庫ニーズを把握し、パートナーとなる現地企業に紹介できることが強みだ。

 

さらに日系企業を紹介するだけでなく、入居後にきめ細かいケアができるのも利点と話す。日系テナントは、信用力も高く、物件を丁寧に使うなどの点から海外でも評価が高い一方、管理側にしっかりとした対応を求めるからだ。「日本企業は時間に厳しく、また施設を清掃してないとすぐクレームが来ることもあります」。日本国内で培った、日系企業にも通用する物件管理のノウハウを、日系企業の入居する海外物件の管理会社に提供できる。

このほか海外展開で重要な点として、伊藤氏は倉庫設計の汎用性を挙げる。倉庫の設計や建設コストは、クライアントの業種や取り扱う荷物によってさまざま。例えば、医薬品などかさばらない荷物を扱う場合、あまり広い作業スペースは必要ないため、倉庫内の柱と柱の間隔を狭くすることができる。逆に間隔を広くするほど、その分少ない柱で倉庫を支えることになり建築コストは増加する。柱の間隔を狭く設計すれば建築コストを抑えることができるが、将来大きな荷物を扱うテナントを誘致できなくなる可能性がある。「クライアントが契約締結から10~15年で退去することも考えられます。最初のクライアントの意向を汲みすぎると、次のテナントを見つけるのが難しくなることもあるため、倉庫にある程度の汎用性を持たせることが重要です」。長期的視野に立った倉庫設計についても、国内でのノウハウを生かせるという。

 

一方で、東南アジアでの事業展開には、特有の難しさもあると伊藤氏は話す。「ベトナムやインドネシアでは停電が比較的頻繁に起きるため、冷蔵・冷凍庫のある倉庫は、バックアップ電源が必要となります。その国の状況に合わせたオーダーメイドが必要になることもあります」。同社は日本国内で培ったネットワークや豊富なノウハウを軸に、現地の状況も鑑みながら多様な借庫ニーズに対応していく考えだ。

 

会社プロフィール
CREの100%子会社として、東南アジアにおける物流施設の開発、保有、賃貸、管理などを行う。

CRE Asia Pte. Ltd.

80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898

http://www.cre-jpn.com