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田辺三菱製薬(MT Pharma Singapore Pte. Ltd.) 医薬品の需要高まるアセアン 情報収集通じて効果的な営業を

田辺三菱製薬のシンガポール現地法人であるMT Pharma Singapore Pte. Ltd.は、今年4月から営業活動を開始、アセアン各国への医薬品の展開を進めている。シンガポール拠点では、日本で開発した医薬品について、現地の政府から認可を取得したうえで販売を進めていく。現在の人員数は4人で、今後も陣容を拡大していく考えだ。
今年4月から5年間を対象とする本社の中期経営計画は、日本国内で安価なジェネリック医薬品の普及が進んでいることなどを背景に、米国や中国、アセアンを対象とする海外事業に注力する方針を掲げている。
これまで田辺三菱製薬はアセアン各国で、連結子会社のあるインドネシアを除き、代理店を通じて医薬品を販売していた。今後のアセアンでの販売体制を強化するため、シンガポールに地域を統括する現地法人を設立した。

シンガポールに拠点を設立するメリットについて、マネージング・ダイレクターの多田俊文氏は、英語が公用語であることや他のアセアン諸国へのアクセスの良さ、情報収集のしやすさ、整備された法律や税制などを挙げる。「シンガポールならすぐに会社の登記が完了し、駐在員のビザも迅速に取得できます。地域統括業務を推進するには適しているといえるでしょう」。

アセアンの医薬品ニーズは
感染症から生活習慣病へシフト

今後、アセアン各国における医療行為や医薬品に対するニーズはより高まると多田氏は見ている。「アセアン諸国では貧富の差が激しく、病気になっても貧しいために病院に行けない人も多くいました。こうした中、日本のように全ての国民が公的医療保険に加入できる体制を整えようという動きが、ここ数年インドネシアやベトナムなどで見られるようになりました」。

 

また経済発展に伴い、医薬品のニーズも変化していくと予測する。「これまでアセアンの国々では、感染症向け抗菌剤や抗生物質の需要が旺盛でした。それが経済成長に伴うライフスタイルの変化もあり、高血圧による脳梗塞や癌、糖尿病など、生活習慣病をはじめとする慢性疾患向け医薬品へのニーズが高まっています。今後、医薬品の需要は感染症向けのものからこれらの分野にシフトしていくと見ています」。こうした中、同社は降圧剤や糖尿病用薬剤などの需要増を見込む。

 

競合他社もアセアン市場に注目する中、多田氏は同社の営業方針についてこう話す。「同じ種類の医薬品でもメーカーによって違いがあり、『この糖尿病の薬は、腎障害のある人への副作用が少ない』など、患者の健康状態によって最適な薬剤が変わってきます。当社の医薬品の特性について、しっかり医療機関側に説明しながら営業活動を展開していくことが大事です」。

 

今後は現地の医療機関とのネットワークを構築、販売した医薬品に関するフィードバックを得られるよう関係を築きたい考え。こうした取り組みを通じて、より効果的な営業活動ができ、他社との棲み分けもできるとの考えだ。「承認を取得した医薬品について、どう販売し、どうお医者様に有用性について説明していくか、そのための組織づくりが必要です」と多田氏。アセアン諸国での医薬品ニーズに対してきめ細かく対応していく方針だ。

 

会社プロフィール
田辺三菱製薬のシンガポール現地法人として、アセアン諸国での医薬品の認可取得および販売などを手がける。

MT Pharma Singapore Pte. Ltd.

60 Anson Road ♯10-01 Mapletree Anson Singapore 079914
Tel: 6603 4207

http://www.mt-pharma.co.jp