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新たに飲食店を開業して、従業員を雇いました。給与の支給に関して、雇用主が納付しなければならない中央積立基金(CPF)への拠出金について教えてください。

A:CPFの納付について雇用主が知っておかなければならないことには、以下のようなものがあります。

◎対象となる従業員
シンガポール国籍か永住権をもつ人を雇用する場合、雇用主はCPFに拠出金を納付する義務があります。CPFの対象者は、船員を除きシンガポール国内で就労する従業員に限られているため、国外へ派遣される従業員は対象外です。また正規採用か臨時採用か、フルタイムかパートタイムかに関係なくすべての従業員が対象となります。ただし、中高生による学校の長期休暇期間に限定されたアルバイトや大学生による実習授業のための就労など、所定の要件を満たす学生の就労に限りCPFの拠出が免除されています。

 

◎CPFの対象となる賃金
CPFの対象となる賃金は基本給や賞与、手当など役務の対価として支払われる金銭のほぼすべてが含まれます。残業手当、通勤手当、出張日当、有給休暇の買い取り、報奨金などがその一例です。一方、雇用主から家主への社宅家賃の支払いや退職一時金、解雇手当などは対象になりません。

 

◎CPFの法定拠出率
CPFの拠出金は、雇用主と従業員の両者が負担します。雇用主は、賃金の総支給額から従業員負担分を控除し、雇用主負担分と合わせて納付します。2016年1月1日からは、下表の法定拠出率が適用されています(従業員の月額総賃金が750Sドル以上の場合)。

*従業員の月額総賃金が750Sドル未満の場合は別の計算式が適用され、50Sドル以下の場合には拠出が免除されます。

◎通常賃金と追加賃金
CPFは通常賃金と追加賃金に分けて計算され、それぞれ拠出の対象となる賃金の限度額が定められています。通常賃金は各月1日から末日までの役務の提供に対して翌月のCPF納付期限日までに支給される賃金をさし、追加賃金はそれ以外に支給される賃金をさします。2016年1月1日より通常賃金の限度額は月額6,000Sドルとされ、追加賃金については10万2,000Sドルから通常賃金の年間合計額を差し引いた金額が年間限度額とされています。

 

◎申告および納付の方法と期限
CPFは翌月の14日までに納付することが義務づけられており、申告書を郵送する方法もありますが、CPF庁のウエブサイトe-submit@webでオンライン申告し、銀行口座からの自動引き落としにより納付する方法が推奨されています。期限までに納付できなかった場合には年利18%の延滞税が課せられ、悪質なケースは罰金刑や禁固刑による処罰の対象となります。またCPF庁は、技能開発税(SDL)および各種相互扶助基金(CDAC/ECF/MBMF/
SINDA/SHARE)への寄付金の代行徴収も行っているため、CPFの申告と合わせてこれらの申告・納付も行う必要があります。