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北國銀行(THE HOKKOKU BANK, LTD. SINGAPORE BRANCH)石川県と連携し地元企業をサポート 食材や伝統工芸品などの販路拡大へ

石川・富山・福井の北陸3県を中心に事業展開する北國銀行は今年3月、シンガポールに支店を開設した。2008年にシンガポールに駐在員事務所を開設し、東南アジアに進出する地元企業のサポートを強化するため、同事務所を支店に昇格させた。同支店に在籍する日本からの駐在員は5人。日本の地銀が東南アジアに支店を開設するのはこれが初めてという。タイとベトナムにも人員を配置しており、日本やシンガポールと連携しながら、これらの国に展開する企業をサポートしている。

 

支店を開設したことで、地元からの進出企業に対し、預金や融資といった金融サービスを提供できるようになったのが大きな変化。このほか事業の大きな柱が、地元企業の東南アジアでの販路拡大のためのサポートだ。これまでの駐在員事務所での活動で培ったネットワークを生かし、現地のバイヤーを紹介するなどのサポートを行っている。2014年にシンガポールに事務所を開設した石川県とも協力していく構えで、今年7月には、同行のシンガポール支店開設セレモニーに合わせ、地元企業26社が参加する商談会を県との共催で開催。米や日本酒といった食品・食材や伝統工芸品などについて、シンガポールのレストランやショップに対してPRを行った。

 

同支店の多橋哲郎支店長によると、観光については、2015年に北陸新幹線が開通し、東京から金沢まで2時間半で行けることになったことも追い風になっているという。また金沢市にある日本の三大庭園のひとつである兼六園は、昨年シンガポールから約1万人もの観光客が訪れ、国別でみると東南アジアでは最も多かったという。今後も同行は県とも協力して、観光客の誘致を図っていく考えだ。

 

シンガポール「高くても良いものは売れる」

「日本ではデフレの影響もあり、『良いものを安く』という考え方があるように思えます。これに対してシンガポールでは、『高くても良いものは買う』という価値観があるといえるのではないでしょうか。シンガポールで販路を拡大していくには、製品のブランド力を高めていくことが大切だと思います」。多橋氏はこう指摘する。一方で、シンガポール人の嗜好を理解しアレンジすることも大事と話す。「こちらでは金や赤といった色が受け入れられやすいなど、シックな色合いを好む日本とはセンスにも違いがあるように思います」。

 

シンガポールで成果を出している企業の特徴については、多橋氏はこう話す。「シンガポールに拠点がない企業でも、3ヵ月や半年に1回のペースで来星して代理店と話をしたり、営業活動を行ったりと、継続的に活動しているところは、海外で何らかの販路拡大に結びついているところが多いようです」。

 

今後の同行の事業展開については、「融資金額がいくらとか、数字だけに囚われることなく、金融以外にもできることは何でもやっていきたい」と多橋氏。将来的には、労務管理や現地法人設立のためのアドバイスを行うなど、幅広い役割をワンストップで提供することで、地元企業の海外展開を支えていくという。

 

会社プロフィール
北國銀行のシンガポール支店。預金・融資などの金融サービスや、日本から東南アジアへの新規進出、販路拡大支援などを担う。

THE HOKKOKU BANK, LTD. SINGAPORE BRANCH

138 Market Street, #08-02 CapitaGreen, Singapore 048946
Tel: 6538 4770

http://www.hokkokubank.co.jp