宮城県仙台市に本店を構える七十七銀行は今年5月、シンガポールに駐在員事務所を設立し、海外進出する地元企業のサポートを強化している。東北に本店がある地方銀行がシンガポールに拠点を置くのはこれが初という。
同行は2005年、当時の地元取引先の中国進出を背景に、上海に駐在員事務所を開設した。その後、海外ビジネス支援ニーズがアセアン諸国に広がってきたことなどを背景に、2011年にアジアビジネス支援室を立ち上げ地元企業へのサポートを拡充。
さらに、現地で顧客を直接サポートできるよう、アセアンの拠点としてシンガポールに駐在員事務所を設置することを決めた。
「宮城県だけでなく東北地方全体とアセアン諸国の交流を活発化させたい。アセアンの中心にあり、ヒト・モノ・カネのハブであるシンガポールに拠点を置くことで、進出企業に対しさまざまなサポートができます。こちらにいないと分からない生きた情報をお客様に届けていきたい」と同駐在員事務所の所長である鹿戸雄介氏は話す。アセアンへの進出企業の情報ニーズに対応するほか、アジアの市場への販路拡大もサポートする。さらには、東北地方へのインバウンドの増加につながる活動もしたい考えだ。
進出企業への情報提供強化に向けた
ネットワークづくりも
地元企業のアセアンへの進出動向を見ると、製造業はタイへの進出がもっとも多いという。食品関連では、シンガポールやバンコクなど大都市圏への商品の売り込みといった、販路拡大のニーズがここ5年くらいの間で増えているそうだ。シンガポールでは、地元仙台の名物である牛タンを提供している取引先もあり、同県の特産品である水産加工品の展開を図る企業も多いという。このほかサービス業などの海外展開も増えており、同行は各企業のニーズに応じて対応していく。
「東北は食材の宝庫ですが、日本の他の地域に比べて海外での流通はまだまだ少ないと感じています。東北の食材の美味しさをアセアンの方々に知っていただけるよう販路開拓のサポートも行っていきたい」
同行は進出を検討している取引先企業に対し、海外展開にあたりアセアン諸国でどのような食材が好まれるのか、現地の業者とどうやって関係を築いていけばいいかなどの現地ならではの情報を提供していく。国ごとに違う商習慣や規制について情報を集め、顧客に提供することも重要という。例えばシンガポールの場合、日本の牡蠣は規制のため生で輸入することができないといったものだ。コンサルティング会社や会計事務所らとのネットワークの構築も進め、海外展開のノウハウの収集に努めている。
「アセアンへの進出を検討し、シンガポールへ出張で訪れるお客様からは、出張先で、地元の金融機関にサポートしてもらえるのは心強い、といった声をよくいただいています」と鹿戸氏。今後は、顧客同士のネットワーク拡大にも寄与したいという。
会社プロフィール
七十七銀行シンガポール駐在員事務所は、取引先のアセアン諸国等への進出支援や、貿易・投資・金融などに関する情報提供などを行う。
The 77 Bank, Ltd.
Singapore Representative Office
50 Collyer Quay, #11-09 OUE Bayfront, Singapore 049321
Tel: 6509-0077