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三菱地所設計(Mitsubishi Jisho Sekkei Asia Pte. Ltd.)日本のまちづくりのノウハウを海外へ グリーンテクノロジーの知見も武器に

大規模な都市開発プロジェクトが数多く進展しているASEAN諸国。三菱地所の100%子会社である三菱地所設計は同エリアでの事業拡大に向け、シンガポール現地法人としてMitsubishi Jisho Sekkei Asia Pte. Ltd.を設立、5月から営業を開始した。

 

同社は2013年、シンガポールに駐在員事務所を設置し、インドネシアやタイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、豪州などでプロジェクトの受注機会について調査してきた。海外拠点は中国・上海に続き2ヵ所目となる。

 

日本を代表するビジネスセンターの一角である丸の内地区で、スマートシティ(ITや環境技術を活用し、街全体で省電化などを実現した環境配慮型都市)の開発などに携わってきた同社。同現地法人のマネージング・ダイレクターである鳥羽聡一郎氏は「丸の内の街全体をマネジメントしてきたノウハウは、アジアの都市開発プロジェクトでも役立つでしょう。特にエネルギーの消費量を抑えCO2の排出量を削減するグリーンテクノロジーなどへの取り組みでは日本が先行しており、当社の得意とするところでもあります」と話す。

 

 

 

シンガポールで需要が見込める技術のひとつが地域冷房システム。一定地域内のビル内部にある冷房や給湯システムを一箇所にまとめ、導管でそれぞれのビルに供給するというものだ。これまで建物ごとに設置されていた設備を一本化することで省スペース・省エネにつながる利点があり、シンガポール政府も都市開発でこうしたシステムを採用していく方針という。

 

ASEANの都市開発計画で引き合い
日星建築家の交流プログラムも

現在、シンガポール以外のASEAN諸国からも、大規模な都市開発プロジェクトに関する引き合いが多く寄せられているという。インドネシアやベトナムでは工業団地の整備も進んでおり、同社にとってはビジネスチャンスになるとの見方。「これらの国では、工業団地に文化施設やホテルなどを整備し、一つの街として作り上げることで、生活水準を高めたいというニーズがあります」(鳥羽氏)。

 

このほかシンガポールでは、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)活動にも力を入れており、オーチャードにあるジャパン・クリエイティブ・センターで、建築分野における日本とシンガポールの学生交流プロジェクトに参画している。建築を学ぶ両国の学生が、同社を含む設計事務所で就労体験を積むというもので、今後は両国の若手建築家の交流プログラムなども計画しているという。

 

仕事を進めるうえでのポイントについて、鳥羽氏はこう語る。「設計の仕事で最も大切なことは、きちんとその国の文化に根ざしたものを提案することに尽きます。建築やまちづくりは生活の場をつくることであり、決してこちらの考え方や価値観を押し付けてはいけません。その国の文化をしっかり勉強して、そこで暮らす人たちが求めるものを提案することが大事です」。日本での知見を活かしながら、プロジェクトを展開する国の文化や現地のニーズにも常に気を配っている同社。シンガポールを含めたASEAN諸国でさらなる成長を目指す考えだ。

 

 

会社プロフィール
建設設計や都市・地域開発などを手掛ける三菱地所設計のシンガポール現地法人。ASEANのハブ拠点として、オフィスや都市開発プロジェクトの設計業務や営業活動などを担う。

Mitsubishi Jisho Sekkei Asia Pte. Ltd.

138 Market Street #27-03 CapitaGreen Singapore 048946
Tel: 6576-4092

www.mj-sekkei.com