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日本M&Aセンター(Nihon M&A Center Inc.)M&A通じ日系企業の海外進出支援 海外企業の事業承継問題にも対応

海外進出する日系企業の増加に伴い、海外企業の買収ニーズも増えているようだ。特に日本から地理的に近く、経済成長も著しいASEANの中堅・中小企業に注目する日系企業は多い。こうした背景もあり、M&A(企業合併・買収)の仲介を専門に手掛ける日本M&Aセンターは、4月にシンガポール支店を立ち上げた。

 

日本本社の設立は1991年。全国の地銀や信用金庫、会計事務所と提携し、中堅・中小企業のM&A支援業務に特化したスタイルが特徴。2007年には東証一部に上場を果たしており、海外拠点の設立はこれが初となる。「アジアの金融センターであるシンガポールには、M&Aに関する情報も多く集まってきます」同支店の西井正博代表はシンガポールに拠点を設立する利点についてこう話す。

 

 

近年ではチャイナショックの影響もあり、製造拠点が中国からASEANにシフトする傾向にあると、西井氏は指摘する。こうした流れもあって、日系企業によるASEAN企業の買収ニーズはこれまで以上に高まっており、業種別でみると製造、建設、食品、サービス業などで特に旺盛という。今後同社は、ASEANのハブとしてシンガポール現地法人の立ち上げを目指すとともに、タイやベトナム、マレーシアの拠点設立も視野に入れている。現在シンガポールでは、金融機関や証券会社らとのネットワークづくりに奔走しているという。

 

扱うのは金額ベースで1~50億円規模の中堅・中小企業案件。「外資系銀行やメガバンクらの場合、100億円以下の案件は採算が合わないことが多く、こうした案件は取り扱っていないのが現状です。ASEAN市場を見ると、まだこの分野に日系のプレーヤーはおらず空白地帯とも言えます」(西井氏)。

M&Aへの抵抗少ないASEAN中小企業
日系企業との資本提携ニーズも

一方、売り手側のニーズについて、西井氏は「ASEAN諸国の中小企業にはオーナー企業や家族経営のところが多く、日本と同様に事業承継問題を抱えている所も多くあります。これらの国では高齢化も進んでいるため、事業承継はこれからますます深刻な問題になるでしょう」と分析する。このほか、日本市場へのアクセスに向け20~30%の資本提携をしたいといったニーズも高いという。

 

M&Aに対する考え方も日本とは異なるとの見方だ。「日本の場合、親から受け継いだ会社を手放すのを惜しむ経営者が少なくないのに比べ、海外ではM&Aによる企業譲渡に抵抗の少ない方が多いと言えます」(西井氏)。こうした点は、M&Aを行ううえではむしろ有利といえるのかもしれない。

 

「日本には、資金はあるけれど国内に投資先がないといった企業も多くあります。われわれのネットワークを通じて、そうした企業による海外企業の買収ニーズを把握できるのが当社の最大の強みです」と西井氏。日本国内で培った知見やネットワークを活かし、中堅・中小M&A市場のフロンティアであるASEAN諸国へ打って出る考えだ。

 

 

 

会社プロフィール
中堅・中小企業のM&A支援業務を手掛ける日本M&Aセンターのシンガポール支店。シンガポールを含むASEAN各国の市場調査や、提携先の開拓などを担う。

Nihon M&A Center Inc.

80 Raffles Place, #59-02, UOB Plaza 1, Singapore 048624
Tel: 6817 5490
www.nihon-ma.co.jp