AsiaX

日本ユニシスグループが東南アジアでICTサービスの実現可能性を調査

photo-1

ビジネスにおけるICT(情報通信技術)ソリューションを提供する企業、日本ユニシスのグループ会社NUL システムサービス・コーポレーションが10月、シンガポールに駐在員事務所を設立した。日本ユニシスグループはすでにシンガポールをはじめ、東南アジアを中心に7ヵ国に拠点を置き、システムインフラ構築、オフショア開発などを手がけている。一方、今回設立したNUL システムサービス・コーポレーションはリサーチ業務に取り組む。同社ビジネスプロデューサーの長田直記さんは、日本ユニシスが日本で提供するICTを使った社会基盤サービスなどの東南アジアでの市場可能性を探ることが目的と話す。

 

「シンガポールを拠点に、東南アジア各国の企業へ出向いて調査を行います。例えば、日本では物流業界などで導入されている無事故プログラムDR(ドライブレコーダー)というサービス。携帯電話の回線を利用してドライバーの運行情報のデータをリアルタイムに管理し、安全で環境にも優しい運転を支援します。このサービスを、東南アジアでも活用できないかといった調査を行います」。

 

日本で導入されている技術が別目的に応用できる可能性を探る

リサーチ分野では、東南アジアの様々な問題を解決するために、日本で実績を挙げているシステムを応用できる可能性も探る。例えば、日本では無事故プログラムDRの技術を、踏切の監視や河川の増水など気象を監視するシステムへ応用しサービス展開を行っている。これと同様のことを考えたいという。

 

このほか、日本ユニシスが新潟県の佐渡島で手掛ける地域医療連携ネットワークも、東南アジアでの展開の可能性を秘める事業の1つ。病院、薬局、介護施設などの医療機関が医療情報を共有することで、患者をサポートする。シンガポールは医療機関の連携ができているが、ほかの東南アジアの国での展開の可能性を探りたいという。

 

このようにひと口に東南アジアといっても国によって事情は異なり、各市場に合わせた事業の可能性を探りつつ、事業展開を企画する。顧客となる企業は多業種に渡り、各企業においてもそれぞれ抱えている課題は変わってくる。

 

「当社の特長の1つは、『マルチ』に対応できることです。お客様の既存のシステムを目利きし、マルチなシステムや製品を最適な状態にします。また、ITだけにとどまらず、ビジネスにおける課題を汲み取って最適なソリューションを提案します。当社はお客様が持つ強みと、当社の強みであるICTの技術力を利用して掛け合わせることで新たな価値の創出を目指しています」。

 

人と情報が集まり、ビジネスが絶えず動いているシンガポールに拠点を置きつつも、市場の規模や成熟度から、近隣諸国にも注目している。

 

「注目している市場はベトナム、インドネシア、タイ、マレーシア。シンガポールを選んだ理由の1つは、これらの市場に距離的にも近く、多くの情報が集まるためです。これからの1年、事業の実現可能性をしっかり探っていきたいと思います