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マーケティング編 第2回 マーケティングとは本当は何なのか

前回、マーケティングを「顧客の獲得」や「売上・利益アップ」の手段と捉えている限り、決して望む結果は手に入らず、売上や利益は、追えば追うほど逃げていくということをお伝えしました。今回は、マーケティングとは本当は一体何なのかについて書きたいと思います。

 

前回のドラッカーの定義に戻れば、マーケティングの目的は、商品・サービスを顧客に届けることになります。ところで、あなたはなぜ自分の商品やサービスをお客様に届けなければならないか、考えたことはありますか?

 

もしあなたの会社の商品やサービスが真に価値あるものならば、それは必ずお客様の人生をより良くするはずです。第一に、あなたはそこに絶対の自信を持っていなければなりません。

 

もっと言うなら、あなたの会社の商品やサービスを「届けない」ことは、お客様を不幸にしているとさえ思えるかどうか。実際、あなたに出会えないことで、まだ見ぬあなたのお客様は本当だったら得られるはずの幸せを得られていないし、現状の生活がもっと良くなることも知らないし、今自分がリスクにさらされる可能性があることを知らないし、それを知らないことすら知らないのです。

 

しかし、専門家であるあなたは知っています。だからこそ、お客様の人生をより良くするために、お客様の人生を守るために、一刻も早くあなたの商品を彼らに届けなければなりません。それこそがマーケティングの本当の目的なのです。

 

お客様の人生に想いを寄せ、本気で向き合う時、あなたは自らの仕事の本質的な意義に気づくことでしょう。そして、その仕事に携わることのできる幸せを心の底から実感できるようになるはずです。多くの人が、人生の本当の可能性を諦めてしまっています。介護業界を例に挙げれば、認知症になってしまい、いつしか言葉を話すこともなくなった方のご家族は、二度とその方が言葉を発することなどないと諦めています。体調を崩すといけないからと外に出かけてはダメ、あれもダメ、これもダメと、段々とその方の人生の彩りが失われていきます。

しかし、その方が再び言葉を話せることを知っている介護業者は決して話しかけ続けることを諦めないし、一緒に買い物に行ったり、お花見をしたり、髪を切って化粧をしてあげたり、人生の彩りと人間としての尊厳を取り戻せるよう徹底的にサポートします。その先に、単に売った買ったの無機質な商取引ではなく、もっと血の通った温かい繋がり、感動が生まれていくのです。

 

こうしたことは、何も特定の業種に限らず、あらゆる業界で実現可能なものです。それは、お客様の人生を守るという覚悟の先に生まれてくるものです。

 

事業を行うということは、お客様の人生をより良くする責任を果たすということです。そして、もしあなたの業界がこのような考え方をあまり持っていないとしたら、その責任はさらに大きくなります。なぜなら、あなたがお客様の人生を守ることのできる、お客様を救うことのできる最後の砦になりえるからです。その責任を果たすためにこそ、マーケティングが存在するのです。

 

さあ、ぜひ、考えてみてください。今日あなたは誰の人生を救うのか。まだ見ぬお客様に何を伝えなければならないのか。そしてその気持ちを全力でお客様に届けてください。

 

あなたが課せられた責任、あなたが本当にできる貢献を、むやみに小さくしてはいけません。
あなたの仕事は、あなたが思っている以上に、もっと意義深く、もっと大切な仕事なのです。