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インテリア雑貨「ファブリックボード」シンガポールから世界の人々に

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近年、日本では北欧のインテリアや雑貨が注目を集めている。その中にファブリックボードと呼ばれ、板にデザインを施した布地を貼り付ける壁飾りがある。普通の絵画や写真とは違う、布独特の風合いが楽しめるインテリアだ。Kannax Pte. Ltd.(カナックス)はこのファブリックボードを主力製品としてシンガポール、アジア、世界への展開をめざす。

 

「例えば、写真を布地にデジタル染色することでファブリックボードができます。シンガポールには、結婚式や家族の写真をたくさん飾っている家庭が多いので、ファブリックボードにも興味を持ってもらえると思います」と、ダイレクターの小林桃子さん。

 

一般消費者向けだけでなく、ビジネス顧客もターゲットに見据える。

 

「レストランなどに店のロゴをファブリックボードに染色することを提案したいと思います。ファブリックボードに限らず、そのほか布製品として、東京で行われた展示会では、ランチョンマット、エプロンなども出展しました。ワインボトルを包む布をつくることなども考えています」。

 

布地、プラットフォームに思い思いの個性をのせて

付加価値の高いもの、そしてプラットフォームを提供することを重視しているという。

 

「製品のクリエイティブの面では、当社は、色や個性がまだ付いていない布地、すなわち土台、プラットフォームを提供する。そのプラットフォームに各自思い思いのデザインや組み合わせが入ることで、付加価値が高いものを届けたいと思います」。

 

Kannaxは、日本で結婚式に使われたブーケを一つ一つ手作りで押し花やドライフラワーに加工する「アフターブーケ事業」、カスタマイズトートバッグやファブリックボード等のデジタル染色を施した布地を使った製品制作の「ファブリック事業」を手がける。2013年4月シンガポールに設立したKannax Pte. Ltd.はカナックスの本社として、東京、ハワイ、そしてファブリックの工房があるカンボジア・プノンペンの拠点を統括する。

 

シンガポールに本社を設立した理由は、アジアを重視するとともに、世界への発信を考えての選択だという。

 

「日本市場は独自性が強く、製造から販売まで国内で完結しています。一方で、製品を世界に届けたいと考えた時、世界全体を見ることができるのはどこか、そして同時にアジア市場へのアクセスも良い場所は、と考えた場合、答えは自然にシンガポールとなりました。また、シンガポールは、歴史的背景や大きくない国であるがゆえに、どうやって生き延びていくかを考えてきた国、近隣諸国や世界とのバランスを見つめながら、発展してきた国だと思います。当社は決して大きくはない企業ですが、世界を舞台とするうえで、シンガポールという国から学ぶものが大きいと思うのです」。