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日本のスペシャリティを海外へ売る。生産者と東南アジアの架け橋となる

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人口6億人の消費者市場として注目を集める東南アジア。すでに多くの大手企業がASEAN(東南アジア諸国連合)へ進出しているが、中小企業もこの巨大市場への参入を狙っている。

 

このような地方の中小企業のサポートを手がけるのが11月に設立されたxBounds Asia Pte. Ltd(. クロスバウンズアジア)。「日本の地方を世界に売る」「地産外商」のマーケティング支援を手がける株式会社エクストラコミュニケーションズ(本社・三重県津市)のシンガポール法人だ。

 

クロスバウンズアジアのダイレクターを務めるのはシンガポール人で日本在住18年のテオ・チュウヨン(Teo Chuu Yong、張楚栄)さん。内需が縮小傾向にある日本の市場は中小企業にとって深刻な問題であり、海外市場への販路拡大に活路を見出そうとする企業が増えているという。

 

「大企業と異なり、中小企業は海外進出のための資金もノウハウも足りず、言葉の問題にも直面することが多い。そこで当社が日本の地方の中小企業、生産者とシンガポールのバイヤーとの間に立ち、コミュニケーターとして活動します」。

 

マーケティングのデータを蓄積。地方特産品の文化的背景も紹介

シンガポールで展示即売会・商談会を開催し、同時にネット上での独自のBtoB商取引システムにより、リアルとウェブの双方から日本のスペシャリティを紹介、売り込む。さらにシンガポールでの反応を調査、生産者へフィードバックする。こうして得られたデータの蓄積がクロスバウンズアジアの強みとなる。

 

「ぶどう糖100%飴という商品があります。シンガポールでは珍しい商品ですが、勉強や仕事の集中力を高める効果が期待できるということで即売会で評判になった。このように、シンガポールのバイヤーにとって未知の商品でも、消費者の反応を提示することで説得力を持ちます。すべての商品がそのままシンガポールでもすぐに受け入れられるとは限りません。テストマーケティングの結果に応じて、シンガポール向けに調整をすることも必要になってきます」。

 

クロスバウンズアジアは、エクストラコミュニケーションズにとって海外初の拠点となる。シンガポールを選んだのは、ASEANのハブとして各国のいろいろな情報が集まってくること、そして多民族国家でありテストマーケティングに適していることが理由だ。

 

「将来マレーシアやインドネシアといったASEAN内の大きな市場参入への足がかりをつかめるのがシンガポール。ハラルへの対応なども当地で試行錯誤できます」。

日本の地方特産品はその土地の文化を反映しているのが魅力。商品だけでなく文化的背景もいっしょに紹介したいとテオさんは語る。

 

「例えば、シンガポールでもおなじみの招き猫の生産量日本一は愛知県常滑市。その常滑市の招き猫を紹介することで、陶磁器で有名なその土地について知る機会を、シンガポールの人々に提供したいと思うのです」。