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日本と海外に精通し、顧客と考える 国際税務コンサルティングサービス

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東京に本社を置く総合アカウンティング・ファーム(会計事務所)、AGSコンサルティングが今年4月、シンガポール支社を設立した。シンガポール支社長の中川利海さんによると、この2、3年で日本からシンガポールへの進出に関する問い合わせが増え、そうした顧客の要望に後押しされるように、AGSグループ初となる海外支社の設立が決まったという。

 

「当社の顧客は中堅・中小企業が多く、業種では製造や販売など多岐に渡ります。製造業のお客様はコスト削減とチャイナリスクへの対応としての東南アジア進出を、販売業の場合はアセアン市場への展開のために、シンガポールにハブ拠点を置きたいと考えていらっしゃいます。2010年に日系企業が海外に持つ地域統括会社に対して優遇税制が認められるようになり、進出する企業が増えました。中国市場をめざすなら香港、アセアンの入り口となるのはシンガポール。最近は香港よりもシンガポールを選ぶ企業が増えているように思います」。

 

AGSグループが手がけるのは、①会計・税務業務などのMS(マネジメント・サービス)、②相続税・贈与税の申告業務などを行う事業承継、③IPO(新規株式公開)支援、④M&A、⑤TA(企業再生支援)、⑥IS(インターナショナル・サービス)事業。これらのうち、シンガポール支社では国際業務サービスのIS事業を中心に行う。シンガポールに進出前のストラクチャリングから設立、税務申告、経営管理、事業展開にいたるまでの支援、法人・個人の国際税務などを請け負う。

 

「 顧客第一主義」で日本とシンガポール両国の知識を基にアドバイス

「日本とシンガポールの両方の知識を持っていることが、当社の強みの一つです。例えば、お客様の会社がシンガポールで得た利益を将来どうするか。日本の会社に戻すのか、それともシンガポールに残し、アジアで再投資するのか。こんなとき当社は日本とシンガポール両国の税制についての知識を駆使して、アドバイスをすることができるのです」。

 

顧客第一主義を掲げ、顧客といっしょに考えることこそ、AGSの仕事に対する基本姿勢と中川さんは強調する。

 

「中堅・中小企業では通常の業務で手一杯で、企業管理までなかなか手が届いていないのが実情だと思います。そんな中で経理を会計事務所に依頼されることが多いのですが、ほとんどの会計事務所は一般に事務のみを行います。一方、当社は経営にも積極的にアドバイスし、よろず相談にのります。そして『財務諸表は会社の健康診断書です。御社はここに改善の必要がありますよ』と、わかりやすく説明することを心がけています」。

 

シンガポール支社は設立間もないが、すでに日本の顧客から引き合いが増えているという。

 

「本当にありがたいことです。今しっかり準備をして、新規のお客様にもしっかり対応できる体制をつくっていきたいと思います」。