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日本、シリコンバレーに続いて東南アジアのIT企業を投資・支援

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日本で最大規模のウェブサイト制作会社であるIMJと米国シリコンバレーのFenox Venture Capital社が共同でシード、アーリーステージを主領域とする 投資会社IMJ Fenox Pte Ltd を設立、今年2月、シンガポールに本社を開設した。

 

「初期段階のベンチャー企業に投資、事業サポートを行います。投資先は日本とシリコンバレーに加えて、今後は東南アジアへの投資が大きくなると思います」と、同社CEOの堀口雄二さん。東南アジアの中でもまず注目しているのはインドネシアだという。

 

「今のインドネシアのIT業界は、15,6年前の日本の状況と似ています。まだ通信インフラが整備されておらず、ブロードバンド普及率もまだまだ少ない状態です。だからこそ、通信インフラビジネスやIT関連企業に投資する。将来、今の日本のようにオンラインショップやインターネットゲームなどで世界を代表するような会社が出てくる可能性が十分あります」。

 

もちろん、地元のIT関連企業であればどんな会社でも投資の対象となるというわけではない。

 

「インドネシアでは経済成長に沿って業績が大きく伸びたといって満足してしまっている会社もありますが、そこで満足せずさらに大きな成長にチャレンジしてもらう。そしてやはり業界No.1になってもらわないといけません。そんな気概のある会社に投資することにしています。一般に、留学経験があるなど海外を知っているトップがいる現地企業は、当社の投資方針に合うところが多いように思います」。

 

すでにいくつかの候補企業とは投資検討を重ねており、もうすぐ実際に投資を行う予定です。また、6月にはIMJが持つWebインテグレーション、開発技術、先進事例などとFenox Venture Capitalが持つシリコンバレーでのノウハウなどを組み合わせたワークショップをジャカルタで開催する予定です。

 

後に続く日本のベンチャー企業へのブリッジ役として

インドネシアでの活動が活発なIMJ Fenoxだが、シンガポールに本社を置くのは法律と金銭面がクリーンなこと、パートナーとなる企業が多いことが理由という。

 

「東南アジアで事業パートナー企業を探したとき、シンガポールに本社機能を置く企業・団体が多かった。またシンガポールにはいろいろな情報が集まってきていると思いました。政府がベンチャー企業を支援しているということも本社を置いた理由です」。

 

IMJ Fenoxの投資は資金面だけでなく、実務的な支援も意味する。例えば親会社IMJの強みを活かし、Webやアプリのプログラムをチェックしたり、画面遷移、UI/UXを改善するなど、日本で16年間培ってきた高度で専門的なアドバイスができる。東南アジアの企業への投資は、現地企業を支援するため、そして日本のベンチャー企業を元気にするためだと堀口さんは言う。

 

「日本のベンチャー企業はマーケティングの中心を日本国内市場に向けている会社がほとんどだと思います。もちろんグローバルを意識した多言語化対応をしているサービスもありますが、本当の意味でグローバル対応をしていくためには、やはりその地域ごとのきめ細かいマーケティング活動、パートナー探しが重要です。今後、大きな市場になるであろう東南アジアにおいては、ベンチャー企業へのブリッジ役を果たせればと思っています。5年後、もしかしたら私はシンガポールにはいないかもしれません。東南アジアでの投資をひと通り終えて、ここでの経験を基に、ほかの成長市場を探していると思います。東欧か、ひょっとしたらアフリカかもしれませんね(笑)」。