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日本のコーヒーと「チョコクロ」のおいしさをシンガポールから世界へ

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都市部を中心に日本全国に300店舗以上を展開するベーカリーカフェのサンマルクカフェ。2009年、万博開催を翌年に控えていた上海へ出店しアジア初進出を果たした。その3年後の2012年12月上旬、大型商業施設ビボシティ内にシンガポール1号店をオープンする。

 

サンマルクカフェは、岡山市に本社を置く株式会社サンマルクホールティングスのグループ傘下。同グループは、1989年に岡山でベーカリーレストラン「サンマルク」を開店したのが始まりで、今や日本全国で6業態・約700店舗をフランチャイズおよび直営で展開している。サンマルク・シンガポールのジェネラルマネージャー、三宅隆文さんは、ベーカリーで焼き立てのフレッシュなパンを提供するスタイルは「我々のDNA」だと語る。

 

サンマルクカフェといえば、サクサクのクロワッサン生地の中にほどよい甘みのチョコレートが包まれた「チョコクロ」が看板商品だが、ここシンガポールでも日本と同様に店頭で焼き立ての「チョコクロ」が味わえる。「材料を日本から取り寄せ、日本と同じクオリティのものを提供します。同時に現地化を図るべく、シンガポールで調達した材料を使い、地元の業者とも提携して、日本と同じクオリティの商品を作りたいと考えています」。

 

シンガポールをショーケースに世界へ展開

かつてフォーシーズンズホテルに勤務し、シンガポールでイタリアンレストランの立ち上げから店舗数拡大にも携わったことがある三宅さんは、シンガポールの市場について「二極化している」と分析する。コーヒーとトースト、半熟卵がセットで3~4Sドルというメニューを提供するローカル店が支持される一方で、コーヒー1杯が5~7Sドル、ケーキなどとあわせると10数Sドルという外資系コーヒーチェーン店も人気を集めているからだ。「安ければお客様が喜ぶとは限らない。店舗の雰囲気や商品の満足感からお客様が払って良いと思う金額と、一致するかどうかだと思うんです」。そんな三宅さんの意見が、サンマルクカフェの各商品の値段設定にも反映されている。例えば、日本で170円の「チョコクロ」は2.40Sドルで販売される。

 

大型商業施設ビボシティの1階という立地は、この業態での出店には良すぎるとも映るが、それにも理由がある。「この店舗をショーケースにして、今後シンガポール国内はもちろん東南アジアにも展開していきたいと考えています。原材料の調達から配送までの仕組みをしっかり構築して、このクリーンな国でクリーンなオペレーションができて、『サンマルクってすごいね』と多くの方に思って頂ければ、それだけでも敢えてこの場所に出店した価値があります。ゆくゆくは東南アジア近隣諸国や北米での展開にもつなげていきたいですね」。さらにもうひとつの狙いもある。「セントーサに行く富裕層が、何かのきっかけでこのビボシティの店舗を知って、投資などの問い合わせに発展する可能性は十分考えられると思っているんです」。

 

岡山発祥のベーカリーカフェが、シンガポールを経て世界へ羽ばたいていく日は、そう遠くないことのようだ。