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楽しくエネルギッシュな「若手会計事務所」であり続ける

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金融ビッグバンと呼ばれた大規模な金融制度改革が進行しつつあった1999年、大手監査法人から転身した3人の若手公認会計士によって設立されたのが青山綜合会計事務所。日本では銀行や証券会社、ノンバンク、不動産投資ファンドなど金融系の顧客が多いが、実は船主や造船会社など海運業界の顧客も多く、この二つの業界に特に強い会計事務所だ。

 

設立当初から金融業界に特化し、外資系証券会社による日本企業へのストラクチャードファイナンスの支援業務などを手がけ、海外業務に通用するクロスボーダー取引の経験やノウハウを蓄積してきた。同事務所の顧客の中で近年シンガポールや東南アジアへ進出する企業が増え、現地での支援が求められるようになったことと、海運関係のビジネスが活発な地であることから、昨年12月、海外で初の拠点としてシンガポールに現地法人を設立した。今年1月から長縄順一さんがマネージングダイレクターとして赴任している。

 

リスクを恐れず、一歩踏み込んだサービスを提供

顧客が海外でサポートを必要とする場合、従来は同事務所が提携する現地の会計事務所が対応していた。しかし、自分達が進出したことで直接対応できるメリットはやはり大きく、経験を踏まえたアドバイスも可能に。過去に日本で提供した税務アドバイスの内容が、その後の法改正で合わなくなっていることを来星してから知り、修正したこともあった。「自分達で現地へ足を運ぶ必要性を痛感しました」(長縄さん)。シンガポールに拠点があるなら、と製造業やサービス業などにも取引先が拡大しており、進出9ヵ月にして着実に実績を積み上げている。

 

青山綜合会計事務所では早い段階から社内での情報セキュリティ管理システム強化に取り組み、2006年には国際規格であるISO27001認証を取得。金融業界特有のクライアントから求められる質の高いサービスとスピードに加えて、信頼性の高い情報管理を行っている。「海外での事業も、高い品質でかつ深く踏み込んだサービスを提供していきたいと考えています」。

 

今後周辺国へ進出する日系企業を現地でサポートすべく、ベトナムやインドネシアへの進出を検討中。また、外資系投資会社などに日本に対する理解を深めてもらうための取り組みも考えている。投資の動機付けになれば、日系企業にとってもプラスになるからだ。

 

「いつまでも『若手会計事務所』で居続けよう、面白そうなことはやってみよう」というのが同事務所のスタンス。「リスクを取ることを恐れず、成功に導くための相当の努力をすると同時に、気楽に『何とかなる』という感覚を持つことも大切にしています。どんなに詰めても最後はビジネス判断をするしかない、という部分は必ずある。そこを恐れず突き進むことを大事にしたいですね」。

 

シンガポールの事務所には日本人だけでなくシンガポール人、ミャンマー人など多国籍なメンバーが在籍している。「非常に意識の高い、良いメンバーが揃っているので、しっかり良いチームを作っていきたいと思っています」。