AsiaX

採用もマーケティングも、国境を取り払えるサービスを提供

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今年4月にシンガポールに設立されたばかりのAsia Pacific Energize Pte. Ltd.。日本本社の株式会社エナジャイズも2009年4月創業と非常に若い企業である。創業者である尾崎太朗さんは、元々人事関連の情報を取り扱うメディアに在籍していた経験から、採用のコンサルティングだけでなく「お客様と一緒に汗をかかなければ」と考え、顧客企業のビジネスに入り込んで売り上げ増に導くためのマーケティング・サポートもサービスとして提供している。また、会社案内のパンフレットやウェブ、ムービーの制作などクリエイティブ系の業務も手がけ、これらのサービスをワンストップで提供できる体制が強みでもある。

 

昨年春ごろから、海外の大学に在籍する外国人学生の採用に関心を持つ企業が増え、マーケティングについても東南アジアへの進出を目指す中小企業や自治体などから同社のサービスに対する需要が増えてきたため、かねてよりグローバル展開を考えていた同社のシンガポール進出を決めた。現在、尾崎さんは日本とシンガポールの間を行き来する忙しい日々を送っている。

 

ニーズに合わせて新たなサービスを生み出す

「従来日本企業は、海外での採用活動を、情報の不足や選択肢の少なさから、現地の人材紹介会社に全面的に任せているケースが多かったと考えられます。そこで、新たな選択肢としてあるのが当社のサービスです。採用活動全体を社内のプロジェクトとして設計し、回していきながらプロセスやノウハウを蓄積するお手伝いをします」。例えば、シンガポール国内の各大学で開催されるジョブフェアに出展するための段取りはエナジャイズが行い、実際の面接は顧客企業の採用担当者が行う。同社は「海外採用BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」と呼んでいる。

 

新卒採用を例にグローバル採用の変遷を振り返ると、まずは日本にいる日本人学生の採用があり、その後、海外に留学している日本人学生にスポットライトがあたった。やがて、日本国内の外国人留学生の採用を積極化する流れが生まれた。さらに最近では、海外にいる外国人学生を対象とする企業が少しずつ増え始めている。同社はその中でも、入手できる情報が限られており、助けを必要としている企業が多い「海外にいる外国人」の採用に領域を絞ってサービスを展開している。「日本の中だけで人材を探すのではなく、国境を取り払って、いかに優秀な人材を採用するかを一緒に考えましょう、ということです」。

 

シンガポールにはアセアンやアジア太平洋の地域本部を置く企業も多く、その分情報の流通量も多い。その環境に身を置き、顧客ニーズの変遷や推移を見ていきたかったこともシンガポールに拠点を置いた理由のひとつだ。「もちろん、シンガポールの地では現地法人ならではの企業ニーズに応える人事サービスの提供を行いたい。そして、当地だけでなく、インドネシアやベトナム、あるいはインドへの進出を考えていらっしゃる中小企業などが、まず相談できる相手になりたいですね。ゆくゆくはブラジルやロシア、北米などへの展開も視野に入れています」。