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2013年9月17日

ノンネイティブの英語プレゼンが世界で輝くためのポイント

  • マーキュリッチ株式会社 代表取締役・チーフトレーナー西野浩輝(にしの ひろき)

西野浩輝氏プレゼンテーション、営業スキル、交渉力などの分野で研修講師やコンサルタントとして活躍し、著書も多数ある西野浩輝氏が、10月2日開催のAsiaXビジネスセミナー「ノンネイティブがグローバルで成功するプレゼンテーション」に登場する。ほぼ独学で英語を習得し、プレゼン力を磨いた自らの経験から日本人が押さえるべきポイントを見出したという西野氏に話を聞いた。

AsiaX

人前で話すのは子供の頃から得意だったのでしょうか。

西野

いいえ、引っ込み思案でたぶんクラスで一番目立たない子でした。大学時代にようやく人並みぐらいには話すようになりました。ただ、人前でうまく話せることへの憧れもあって、人と話さない分、周りを観察したり、自分の頭の中でいろんなことを考えたりしていました。それが今に活きている部分があります。

AsiaX

大学院在学中にスイスに留学された時のことを教えてください。

西野

高校までは英語が大嫌いで、理系に進んだ理由のひとつでした。それが、大学時代に軽い気持ちで英会話スクールに通い始めたら、外国人の先生と英語で話す楽しさに開眼してしまったんです。交換留学プログラムの選抜試験を受け、大学院1年生の時に3ヵ月間スイスに留学しました。
留学先には世界中から学生が集まっていて楽しかったですね。グローバル感を初めて肌で感じました。週末には学生がいろんなイベントをやっていて僕もまめに顔を出していました。中には、世界的に有名なNGOの人を招いてプレゼンをしてもらい、さらに学生がプレゼンをしてディスカッションを行う、といったちょっと硬めの内容もあったんです。そこで特に欧米人のプレゼン力の高さに衝撃を受けました。とてもかなわない、と思いましたね。自分もうまくなりたいと考える大きなきっかけになりました。

AsiaX

大学院卒業後はリクルートに就職され、その後ヘッドハンティングで入社された米国系の教育研修会社で最初はかなり苦労されたそうですが……。

西野

入ってみたら、日本向けに売れる商品も無ければ料金も決まっていない、システムも確立されていない。こんな状態で売れるわけがないだろう、とジェネラルマネージャーだったドイツ人の上司とケンカばかりしていたら、6ヵ月でクビだと言われてしまいました。
通常ならその決定を受け入れるしかないでしょうが、たった半年で会社を辞めたことになるのも嫌だったので、粘って、2ヵ月で1,000万円の売り上げを条件に置いてもらえることになりました。追い込まれるとスイッチが入るんでしょうね。2ヵ月は寝ないで働いてやろう、という勢いでした。とんでもない窮地に追い込まれたハリウッド映画のヒーロー役のような気分で(笑)。実はこの時期に財布を落としたことがあったんですが、探す時間がもったいないと思うぐらい、仕事に集中していました。ものすごく充実していたので楽しかったですね。
この会社では、毎週月曜日の朝に全体ミーティングがあって、そこで先にお話したドイツ人の上司と僕が毎回すごい口論になるんです。ケンカって、ある意味プレゼンじゃないですか。そこで、海外経験も豊富でネイティブ並みに英語を話すその上司とのケンカで絶対勝ってやろう、と思ったんです。ケンカの機会は毎週訪れて、毎回のように英語で言い負かされて悔しい思いをしていたのでモチベーションが途切れなくて(笑)。結局6年近く勤めて、彼とは残念ながら最後まで合わなかったんですが、英語力とプレゼン力を磨くために頑張れたのは彼のおかげでしたから、今となってはとても感謝しています。

AsiaX

セミナーでは英語プレゼンについてお話頂けるとのことですが。

西野

私は帰国子女でもなく、海外での生活経験はスイスに留学した3ヵ月ぐらい。ずっと日本にいたので、話す英語は、ジャパニーズ・イングリッシュなんです。それでも英語プレゼンがうまくなる方法を、自分なりに実践し築き上げてきました。TOEICで満点を取ったといってもいまだに英語はまだまだ。それでも、英語でのプレゼンで英語スピーカーに負けない自信があります。
「英語がうまくなければ英語プレゼンはうまくできない」という考え方がありますが、それは誤りです。英語力は今のままでもプレゼン力を鍛えれば十分戦える、という方向に向かっていない人が日本人には多すぎる。それを変えたいという思いが、僕が英語プレゼンの研修を行っている根底にあります。
英語のプレゼンは「英語力×プレゼン力」、かけ算なんです。英語力がゼロでは、もちろんゼロになる。でも、足し算ではなく、かけ算なのがポイントです。
英語力はそう簡単には上がりません。日本人がネイティブ並みになるにはおそらく1万時間でも足りない。一方プレゼンは、いろんな経験が必要ですし、いろんな要素が絡みますが、コツをつかんでうまくやれば十数時間でもかなり上達します。プレゼンがうまくなるように頑張った方が絶対トクなんです。

AsiaX

日本人にはそもそもプレゼンが苦手という人も多いのですが……。

西野

すごく根が深いところに原因があって非常に複雑なので、シンプルに言うのは難しいんですが、一番の原因は社会にあると思っています。
例えばアメリカでは、人前でうまく話せるかどうかで大きく評価が変わります。アメリカのCEOはだいたい話がうまいんですよ。うまい人じゃないとなれない。日本ではビジネスでも学校でも、わかりやすく伝えられることがすごく重要だ、というところまでまだ来ていません。
さらに言うと、アメリカは「恥の文化」ではないので自分を全面に出しますし、出し過ぎて出た杭もそれほど打たれない。日本の場合は、ちょっと目立つとものすごく叩かれますよね。だから無難になりがちなんですが、無難なプレゼンは良いプレゼンとは言えません。プレゼンはそんな文化的なところまでさかのぼることになるので、非常に根が深いものなのです。

AsiaX

そのような根深いものを抱えつつ、日本人がプレゼン力を上げるには何が必要でしょうか。

西野

僕の座右の銘でもあり、ぜひ皆さんにもお伝えしたいのが「日々是プレゼン」という言葉です。要は、日常からプレゼンと思え、と。
毎日のコミュニケーションの場面が訓練になりえます。それは自分だけでなく、相手のためでもあるんです。つまらない話をだらだらとされても困りますよね。頑張ってうまく伝えようと意識して話すことがトレーニングになります。加えて、良いプレゼンをするためには準備が要ります。
米国系の教育研修会社にいたころ、カナダ人の同僚とお客様へのプレゼンを担当したことがありました。2人でプレゼン資料を作成した後、じゃあ土曜日の午後にオフィスで練習しよう、と彼が言い出したんです。その時は昼過ぎから夕方6時までほぼ休憩なしで繰り返し練習しました。この経験で、なぜ彼らはプレゼンがうまいのかがよくわかりましたね。欧米人は子供のころから人前に出ることに慣れているからだ、とよく言われますが、それだけが真実ではない。社会人になってからも大事なプレゼンの前の練習量は半端じゃないんです。
僕もそうでしたが、日本人で大事なプレゼンの前に何度も練習している人がいるかというと、ほとんどいないと思います。その意識を変えたいですね。日本人が英語でのプレゼンでスティーブ・ジョブズ並みになるのは難しくても、国際的なコンペなどで、対等に英語プレゼンができるようになる可能性は100%あると信じていますし、伸びしろは十分あると思うんです。

AsiaX

最後にアジアエックス読者へのメッセージをお願いします。

西野

シンガポール発の「世界で輝く日本人プレゼンター」になってください。シンガポールにいらっしゃる日本人が起爆剤になって、世界で活躍するいいプレゼンターを目指してぜひ活躍して頂きたいですね。
海外に住んでいることは、やはり日本にいるよりも有利で良い環境だと思います。引っ込まずにチャレンジして、人前に出て英語でプレゼンをするありとあらゆる場面を活用してください。失敗しても良いから、チャンスを最大限活用してどんどん場数を踏んで、良いプレゼンターを目指して頑張ってください!

西野浩輝(にしの ひろき)

大阪大学大学院工学部材料物性工学科修了。(株)リクルートでは営業として、部門史上初の2度のMVPを受賞。その後世界最大の研修会社アメリカン・マネジメント・アソシエーションに転職。在籍した6年近くにおいて、ほぼトップ営業であった。独学で英語を習得し、TOEIC満点(990点)を獲得。トーストマスターズ(英語スピーチクラブ)等にも在籍し、仕事も含めて500回近くの英語プレゼンを行う。独立後、年間150日以上の研修を行い、総受講者は約40,000人。プレゼンや交渉術、リーダーシップなどのコミュニケーションが専門領域。「プレゼンは聴衆に対する誠意ある芝居である」が信条。グローバル人材育成にも力を注いでいる。著書は、これまで10冊、計20万部。

 

2013年09月17日
文= 石橋雪江

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