AsiaX

2030年、アジアNo.1のグローバル人材育成企業へ

photo-1

大手企業を中心とした法人約450社に対して、グローバル人材育成コンサルティングや組織開発コンサルティング、教育研修コンサルティングを実施しているアルーが、シンガポールに現地法人を開設した。

 

同社はシンガポール国立大学(NUS)と提携し、2011年11月に10日間にわたる公開型のグローバル人材育成プログラム「Asia Future Leaders Summit」を実施して成功を収めた。マネージャーやマネージャー候補など次世代のビジネスリーダーがシンガポールで一堂に集い、学び合うというもので、日本人、シンガポール人、中国人、台湾人、インド人、タイ人など17人が参加。アジア諸国の異業種・異国間で学び合えるこのセミナーが好評で、今年の6月には2回目を開催する予定だ。アルーシンガポール・ディレクターの鯉渕美穂さんは、「異文化の中で色々な視点を見つけられるというシンガポールならではの環境が功を奏しました。日本から参加する方にはTOEIC800点以上の基準を設けていたので英会話はまったく問題ないにもかかわらず、中国人や台湾人、インド人の方々は発言量が多く、日本人とタイ人の方は控えめでした。特に日本人の方は、自国内との環境の違いに危機感を持たれたようです。一方、発言の多かった方には他の人の意見を聞くことも大切と促し、最終的には他国の文化や知恵を生かすという大切さも学んでいただけました」と大きな手応えをつかんだ様子だ。

 

2030年にアジアでナンバーワンの人材育成企業になることをビジョンとして掲げる同社。アジアの各国に拠点を構え、事業展開を図っている中でも、東南アジアのハブであり多民族国家というシンガポールは、アジアの人材育成拠点として重要な役割を果たすことになりそうだ。

 

また、すでに上海に拠点を構えている同社では、現地日系企業とローカル企業双方において、サービスの質向上のための研修に対するニーズが増えている。経済成長著しいASEAN諸国に先駆けて発展を遂げてきたシンガポール市場では、より激しい競争にさらされ、様々なサービスや質もより洗練・向上されていくと予測される。こうした需要にも同社の事業が応えていける部分が十分にありそうだ。

 

海外現地法人は、シンガポール、上海のほかに、近年日系企業の進出がさかんなインドネシアのジャカルタやインドのデリーにも構えている。例えば、ある大手メーカーが中国とインドで新人社員研修をスタートしており、今年はその対象人数を拡大して実施した。「日系企業が行っている海外研修は、海外に送り込んで原体験をさせ、グローバルマインドの醸成を図ろうというのが最近のトレンド。英語だけではなく中国語での対応が必要な中国はもちろん、習慣や文化がまったく違うインドを“荒療治”の地として選ばれる企業が増えています」(鯉渕さん)。さらにITやサービス業を中心に、タイやベトナムへの進出ニーズも顕著となってきており、英語教育の投資対効果が高いフィリピンも注目を集めつつある。こうした需要に応えるべく、年内に東南アジア各地に拠点を増やしていく。

 

体験重視型の研修“100本ノック”が好評

アルーが提供している研修プログラムは「習うより慣れろ」の体験を重視した内容が特徴。大手を中心に多くの企業がこぞって同社の研修プログラムを採用していることも大きなセールスポイントだ。グローバル人材育成、リーダーシップ、マネジメント、コンセプチュアルスキル、社会人基礎などそれぞれのテーマに沿って細かく科目が設定されているが、中でも多くの科目に取り入れられているのが、「100本ノック」演習。まずやってみて、できるところ、できないところを把握しつつ何度も挑戦し、量をこなすことで体に覚えさせながらスキル・意識の定着を図るというものだ。「グローバル部下マネジメント100本ノック」、「ロジカルシンキング100本ノック」、「リーダーシップ100本ノック」、「問題解決100本ノック」、「日系企業における仕事の進め方100本ノック」など、多岐に渡る中から必要な科目を選択することができる。自社用にカスタマイズや開発を依頼することも可能だ。

 

シンガポールでのアルーの今後の展開については、公開講座やセミナーを定期的に開催し、より多くの日系企業をはじめ、ローカル企業や外資系企業、多国籍企業にも取引を拡大していく考えだ。鯉渕さんは「日本を含むアジアにおいて、企業の人事の方がどなたも『人材育成のことならアルーに任せたい』と思ってもらえるよう、市場開拓に注力していきます」と意気込んでいる。