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日系中堅中小企業の海外進出を日本とアジア両面から強力支援

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ASEAN各国は現在日本企業の進出がかなり多く、また今後の進出も多いであろうとの読みから、シンガポールに支店を開設した「山田ビジネスコンサルティング(株)」。97年に企業再生支援からスタートしたコンサルティング会社だ。税理士で同社シンガポール支店長の東聡司さんは、シンガポールの経済発展は周辺諸国の急速な発展の後押しもあってこのまま続くと見ている。「シンガポールは、集中と選択というメリハリを効かせた経済政策を取っていることも有利で、さらに伸びしろがあると思いますね」。

 

ビジネスを行うのに好環境という中でも、当たり前のことだが、進出したからといって全企業が成功しているわけではない。もちろん苦戦を強いられている企業が存在している。そうした時にも、心強い存在となってくれるのが、同社のようなコンサルティング会社である。同社では数多くの日本の中堅中小企業(SME)をコンサルティングしている経験と実績から「現地法人のトップとして赴任する方は、営業や工場の責任者などとして日本での現場経験は豊富に持っていらっしゃいます。しかし、海外拠点のトップとなれば労務や人事、財務などより幅広い経営能力が問われ、そのような領域に対応しきれなくなってお手上げといった事象も珍しいことではありません。ローカルスタッフに業務を丸投げしてしまっているという実態も散見されます」(東さん)。

 

日本とシンガポール両面から業績不振の根本解決に取り組む

とはいえ、例えば100の問題があるとしたら、そのうちの20は地域特有の問題で、残り80は日本と共通の課題が浮上してくるのだという。中国にある日系企業に対して、昨年6月から8月に120社、さらに今年1月初旬から2月中旬にかけて30社に聞き取り調査を実施したところ、「ビジネスの場が海外ということは特殊な要因ではない」と結論づけることができた。つまり、海外現地法人の何らかの経営課題を解決するには、日本にある親会社に対して経営改善を実行する必要があるというのだ。同社が日本とシンガポール双方に拠点を構えたことで、現地法人側で問題点をあぶり出すことにより、日本側の親会社へ働きかけることが可能になり、優位性、独自性をもった、より深化したコンサルティングサービスの提供を実現させた。

 

東さんは、日本企業の安易な海外進出に対して警鐘を鳴らす。「人員面のコスト削減を第一の目的にしている会社は、失敗する可能性が高い。不振の原因は人件費以外の部分にあり、日本でうまくいかない要因とオーバーラップしていることが往々にしてあるのに、それに気づいていないというケースが多いからです」。日本で市場がじり貧だからといって、海外市場を取り込もうとして進出するのも、ビジネスの寿命を縮める要素になりえるのだとか。「その市場の現地の人たちに対して、無意識のうちに自ら心を閉ざしている場合も多いんです」と指摘する。

 

同社の強みは、高い専門性であらゆる課題に総合的に対応したコンサルティングが提供できること。今後シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナムに進出している企業を中心に、日本とアジアの両面で、日本の中堅中小企業の進出に対して強力なサポートを展開していく構えだ。