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東南アジアでファン170万人超、人気爆発の日本発ブランド

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フェイスブックのファンが170万人を突破しているという脅威のアパレルブランドがある。しかもこのうちファンの98%が東南アジアに住む人々だ。日本で生産されたカジュアルながら上質なストリートファッションを提案している。ブランド名は「サティスファクションギャランティード」。そのファンは1日1万人ペースで増え続けている。 同ブランドの企画・運営を手掛けるSATISFACTION GUARANTEED PTE LTDの佐藤俊介社長によると、ファン数を東南アジアで驚異的に獲得できた根本には、”メードインジャパン”そのものが持つブランド力を最大限に活用した巧みなプロモーションにあり、「”Like!(いいね!)”」でファンになった人たちの友達を含めた2億人近いユーザーが商圏と捉えているという。フェイスブックでは旬のコーディネートやファッションスナップなど常に情報を発信。ショップは、東京の百貨店での展開のみ。近いうちにシンガポールや東南アジア地域でも出店する予定とのことだが、現時点ではこのブランドの洋服を購入するには東京の店舗まで足を運ぶか、通販で購入するしかない。アジアでは物流体制が整っていない地域もあるため、ブランドに対する憧れが募るというわけだ。「弊社はアパレルメーカーと混同されがちですが、実はブランドビジネスを手がけるブランドカンパニーなのです」。

 

ブランド展開を図るにあたり、アパレル事業を選んだ理由は「人間の3大欲は衣食住じゃないですか」(佐藤社長)と明快。特に衣料品は世界的に著名な高級ブランドがあり、それらはマスメディアやファッションショー、店舗などで新作が発表され、実際にそのものを手にできないとしてもそのブランド自体に憧れを持つ、という消費者心理に着目した。しかし「言い換えればアパレルという選択肢すら一つのツールに過ぎないんです」と佐藤社長が断言するその先には、ソーシャルメディアを軸とした壮大な事業戦略があった。

 

アジアで旗を立て、世界一のブランドに

日本と違ってマスメディアの種類自体が少ないアジアでは、ソーシャルメディアを最大限活用することでユーザーに直接アプローチを図れる。「メディア的な位置づけを持ち、クラウドソーシングしながら、“日本”の外交的な役割をも果たしていきたい。そういうことをやろうとしているんです」(佐藤社長)。 航空会社との広告でのタイアップ実績がある同ブランドだが、今後はプロダクトやサービスを提供する企業と日本企業とアセットを組んで提携やライセンス事業を進めていく商談が進んでおり、ブランド展開は第2フェーズへと移行しつつある。まさにフェイスブックで造成してきたブランドプラットフォームを土台として、ネットからリアルへとビジネスを拡大していく時期が訪れている。

 

2010年、日本の優れたデザインや縫製技術を用いた洋服と、ファッションやカルチャーを連動させながら、アジア市場にブランドを浸透させて行く狙いで、シンガポールに会社を設立。その際、伊藤忠グループのベンチャーキャピタルからも出資を受けたことも注目を集める一つの要因となった。変化がめまぐるしい情勢下で中長期的な計画を遂行するのではなく、適宜時代に適応していくため「目指すゴールが明確であれば良い」と佐藤流“まんが経営”を推進。「例えばまんが一つにしても、大ヒットすると連載が予定よりも伸びたりするじゃないですか。脚本を描きながら事業をやっているといったら分かりやすいですかね」。 佐藤社長が目指す明確なゴールとは。「このブランドを立ち上げたときから一貫して変わっていません。サティスファクションギャランティードを、ルイ・ヴィトンをも超える世界一の“ブランド”にしてみせることです」。