シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP電源工事よる停電から復旧時、UPSを通して電源を供給していたパソ...

企業IT・システム相談

2011年10月3日

Q.電源工事よる停電から復旧時、UPSを通して電源を供給していたパソコンだけが壊れた。本来UPSは電源異常からパソコンを保護するはずなのになぜ?

無停電電源(UPS)でPCが壊れる? 無停電電源装置導入時の注意点

シンガポールでは、急な停電が起きることはほとんど無い。UPSの必要性は、あまり感じない。

 

日本では震災後、計画停電や発電容量の不足によるブラックアウトの可能性等の理由により、無停電電源装置(UPS – Uninterrupted Power Supply)に対する関心が高まっている。まず、UPSそのものについて簡単に説明しよう。UPSは、内部にバッテリ(通常は密閉型鉛蓄電池)を内臓している。停電時は、このバッテリからパソコン等へ電力を供給する。

 

198

 

UPSには、動作から分けて常時インバータ方式と常時商用給電方式がある。常時インバータ方式では、常にインバータを通して出力電力が供給される。インバータというのは直流から交流を作り出す装置だ。常時商用給電方式では、通常は商用電源をそのまま出力する。停電時にインバータが起動し、電力を供給する。このため、停電後、一瞬電源供給が止まる瞬断が発生する。

 

出力形式から分類すると、矩形波、疑似正弦波、正弦波タイプに分けられる。価格が数百ドルの安価なUPSは、ほとんど、常時商用給電方式で、矩形波出力だ。問題が起きることが多いのはこのタイプ。旧型のパソコン用電源ではこの矩形波出力タイプのUPSで問題は起こらなかった。

 

ではなぜ、問題が起きるようになったのか。Energy Starと呼ばれるアメリカ環境保護局(EPA)が推進する電気機器省電力化プログラムがある。2007年7月に発効されたEnergy Star 4.0によって、デスクトップパソコンの電源にPFC(Power Factor Corrected)回路を付加することが求められた。このPFCと安価なUPSの相性が悪い。PFCは、力率(供給された電気のうち有効に使われる電気の割合)を向上させることを目的としている。力率が小さいほど、装置を駆動するためにより大きな電流が必要になる。力率の低下は、主に入力電圧と流れる電流の位相差によって生じる。PFC回路は、電源電圧の変化に電流の変化をできるだけ合わせるように調整を行う。電圧の変化が正弦波であれば問題は起こらない。入力電圧の変化が矩形波のように急激に変化すると、その変化に合わせるように電流を調整するため過大な電流が流れてしまう。

 

UPSを製造販売しているオムロン社では、実際に実験を行った。「無停電電源装置(UPS)の選定方法|製品情報|OMRON 無停電電源装置(UPS)」に結果のまとめが紹介されている。

 

オムロン社の試験結果を見ても分かるようにどの機器でも問題が起きるとは限らない。何らかの悪条件が重なることにより機器の故障が生じる可能性もある。シンガポールの商用電源の電圧は、日本の100Vに対して240Vと高いため危険性は日本よりも高いと思われる。パソコン側の電源の故障は、パソコンの電源を切っていても起きることがある。

 

UPSを導入する場合は、正弦波出力のUPSを推奨する。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.198(2011年10月03日発行)」に掲載されたものです。
取材協力=Huminte Pte Ltd 川田 康廣
本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP電源工事よる停電から復旧時、UPSを通して電源を供給していたパソ...