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日本の著名戦略コンサル企業がアセアン・インドで支援強化

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2011年8月、シンガポールに現地法人を開設した戦略コンサル企業のドリームインキュベータ(DI)。日本企業のアジア展開戦略構築やアライアンス、M&A等に関する支援プロジェクトが増加している中、顧客企業に対する支援の機動性と付加価値を一層高めるため、東南アジア・南アジアにおける戦略拠点を置いた。DIは著名経営コンサルタントの堀紘一氏が代表取締役会長として率いる会社と言えば、ピンと来る人も多いのではないだろうか。東京本社が受注した域内コンサルティングや調査、域内のM&A(合併・買収)支援などの案件を実行するほか、域内からのコンサル需要にも対応していく。

 

当地でインキュベーションオフィス事業を展開するクロスコープの支援サービスにより会社設立に要した労力が軽減されたため、マネージングダイレクターを務める松田励さんは就任直後からフル稼働。何度もインドに飛び、地元資本のM&A企業との協業体制づくりに奔走。年間1,000件ものM&A案件が発生するというインド市場は「地固めができた。あとは実績を上げるだけ」(松田さん)と早くも手応えを感じている。同社は政府の政策を民間企業の経営戦略や技術開発面に反映させ、新産業の育成を推進していくことも得意としているが、シンガポールにおいては政府機関や大学などとの連携関係を構築し、こうしたノウハウを駆使していきたい考え。将来的には自社で投資し、新規事業の開発にも注力していきたいという。

 

“ニッポン企業”の看板を背負って

松田さんは「他国のグローバル企業に負けている分野も、日本企業が勝っていけるのはこれから」と確信。DIの主要取引先が日本の大手企業だということを聞きつけ、東南アジアの多くの企業が商談に乗ってくる。特に案件が多いのはインドで、インドネシアもこれに続く有望市場だ。

 

ボストンコンサルティンググループやマッキンゼーなど国際的に著名な外資系の経営コンサルティングファームに比べてDIの国際的知名度は決して高くないことから人材募集について懸念していたが、設立間もなくあった多数の応募者の中からシンガポール人とインド人の優秀なスタッフを確保することができたという。「ニッポンの企業に対するアジアの各方面からの期待と、日本に対する尊敬を感じます」(松田さん)。

 

現状は本社からの案件を処理している格好だが、ゆくゆくは自前で案件を受注し、数十人規模のチーム体制で業務が一括して行え、そのプロジェクトを完結させる体制づくりがミッション。5年後には、DIが得意としている環境、インフラ、消費財、インターネットモバイルコンテンツ分野などで東南アジアやインドの各企業からもコンサルティング案件を受注していきたい考えだ。