シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPアレルギー体質なのですが、免疫力が弱いのでしょうか?

健康相談

2007年9月17日

アレルギー体質なのですが、免疫力が弱いのでしょうか?

アレルギー体質と免疫力の関係について

みなさんは「免疫」という言葉も、「アレルギー」という言葉もよく耳にするでしょう。この両者には密接な関係があります。

 

細菌やウイルスなどの外敵から身体を身体そのものの力で守ろうという考え方は、ずいぶん昔よりありました。古代中国では、痘瘡(天然痘)に対し患者のかさぶたを粉にしたものを鼻から吸い込ませることによって、痘瘡にかかりにくくさせるという方法をとっていました。これは、現在の「免疫」という概念に通ずるものでした。その後1700年代初めに、この方法がヨーロッパに伝えられ、ジェンナーによって科学的に実証されました。1800年代には、こうした基盤の上にワクチンが開発されて予防接種が進められました。これによって獲得された疾病に対する抵抗力の本体は、抗体という物質であることが判明しました。すなわち、「免疫」というのは細菌やウイルスなどのように外部から侵入した抗原という異物に対応して抗体が産生されるという生体の反応であることが明らかになりました。

 

ところが、1900年代に入って、このように病気に対して身体を守ってくれるはずの予防接種によって「アナフィラキシー」と呼ばれる過敏反応が起こることや、馬の毛のフケに対して喘息発作が引き起こされることが明らかになってきました。このような混乱した時代に、オーストリアのピルケという小児科医が「免疫」も「過敏反応」も共に、細菌や毒素、花粉やフケなどの刺激物といった抗原によって引き起こされる働きであるとして両方を統一し、初めて「アレルギー現象」と呼びました。しかしそれ以降、「アレルギー」という言葉は次第に病的な過敏症を指すようになり、疾病を防いだり治したりする「免疫」とは区別されて使われるようになってしまいました。

 

そして環境汚染が進むなかで、食生活や住宅事情が変わり、いまや、日本人の3人に1人が、「アレルギー疾患」で悩んでいると言われています。

 

「アレルギー疾患」は、「アレルギー反応」の起こる場所の違いによって、次の代表的な3つの病気に分類されています。「気管支喘息」、「アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎・花粉症」、「アトピー性皮膚炎・蕁麻疹」です。これらの病気は、完治させることが難しいこともあり、長期化して、悪化の一途をたどる例も少なくありません。

 

「アレルギー疾患」の多くは慢性のものですが、喘息発作のように見かけ上は急性症状を繰り返すことが多くあります。それゆえ、アレルギーかどうかの正確な診断とアレルギーの原因の特定が前提ですが、2つの視点からの治療が必要です。1つ目は「慢性症状の経過のコントロール・予防」、2つ目は「急性症状の緩和」です。

 

慢性症状のコントロール・予防には、アレルギーの起きている原因物質の対策、すなわち原因療法として「生活指導」、「特異的脱感作療法」があります。

 

「生活指導」では、掃除をこまめにし、ダニ、カビなどを減らしたり、飲料水はできれば浄水器などを使用し、添加物の少ない食物を摂取するといったことが大切です。

「特異的脱感作療法」とは、アレルギー疾患の原因となる抗原を少量から徐々に増量しながら注射し抗原に対して過敏性を低下させることを目的とした治療法です。また従来より「特異的脱感作療法」のみが根本的な治療とされていますが、症状のない時にも通院しなければなりません。最近では注射ではなく、抗原をパンなどに染み込ませ口に含むだけといった在宅でも可能な簡便な方法も試みられていますが、治療が何年間にもわたることがあり、いずれにしても根気の要る治療と言えます。

 

また急性症状の緩和には「薬物療法」が主体であり、ステロイド、抗ヒスタミン薬、(狭義の)抗アレルギー剤があります。また抗アレルギー剤は、Ⅰ型アレルギー反応で出てくる化学伝達物質(刺激を伝えるもの)などを作らなくしたり、出てこられなくしたり、邪魔したり、アレルギーの関係する物質を抑えたりするものです。その種類は、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、トロンボキサンA2阻害薬、ロイトコリエン拮抗薬およびTh2サイトカイン阻害薬の4種類です。ステロイド以外でも薬である限り、副作用が問題となることがあります。

 

最近では、米国、日本を中心にブタクサやスギの花粉による花粉症のワクチン開発が進んでおり、近い将来安全性が確認されれば実用化されそうです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.106(2007年09月17日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPアレルギー体質なのですが、免疫力が弱いのでしょうか?