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健康相談

2007年5月21日

Q.突然の心肺停止!でも慌てないために。

救命処置の重要性

先日、野球の試合中に打球が左胸に直撃した高校生がその場で倒れたまま心肺停止となったにもかかわらず、迅速に人工呼吸と心臓マッサージが施され、AED(自動体外式除細動器)を早急に使ったことにより、一命を取り留めたというニュースが日本にてありました。

 

突然の心肺停止の原因は7割が心臓由来と考えられています。この野球試合中の事故のように、胸部に強い衝撃が加わると致命的な不整脈が起こり、心肺停止を起こすことがあります。このような例には一刻も早く人工呼吸と心臓マッサージを開始し、致死的な不整脈が原因の場合には、AEDなどを用いて心臓に電気ショック(除細動)を与える事が最も有効な救命処置です。処置が一分遅れるごとに救命率は約10%ずつ低下し、発症10分を経過すると後遺症を残さずに回復する可能性はないとされています。

救急車が到着するまでの時間は日本では平均6分40秒ですが、シンガポールではそれ以上かかる事がほとんどです。心肺停止から救急隊が到着するまでに、なんらかの救命処置を行なうことが重要です。救命の主役は医療従事者ではなく、一般の人々なのです。

 

倒れている人を発見したら:

 

  1. 意識の確認と早期の救急要請
    まず意識があるかを確認します。肩を軽く叩きながら大声で呼びかけて何らかの応答がなければ「反応なし」と判断し、大声で叫んで周囲に助けを求めます。この時に頭、顔面、首にけがをしているような場合には、頚椎損傷の危険性があるために、体を大きくゆすったり、首を動かさないように気をつけます。
    誰かが到着したら救急要請(995番)をし、更に近くにAEDがあった場合はその手配を依頼します。
  2. 早期の人工呼吸と心臓マッサージの開始
    次に呼吸の確認を行ないます。顎を上げて気道を確保し、5秒以上10秒以内で正常な呼吸(普段どおりの息)があるかを胸の動きや吐息の有無で判断します。呼吸がなければ2回の人工呼吸を行います。この時に空気が逃げないように鼻をつまみます。更に胸が4~5cm沈む程度の強さで、1分間に100回のテンポで心臓マッサージを開始します。この場合、脈の有無を確認する必要はありません。一般人が脈拍の確認を行った場合、実際には脈がなくても脈が触れると判断されることがあり、心肺蘇生処置を受けずに死亡する可能性があるためです。AEDなどの電気ショックが使用できる環境が整うまで、傷病者の年齢にかかわらず心臓マッサージ30回に対して、人工呼吸2回の割合で継続します。
  3. 早期のAEDなどを用いた電気ショックの使用
    突然の心肺停止の原因で最も頻度の高い致死的不整脈に有効です。窒息などの呼吸由来の心肺停止や、不整脈以外の心臓疾患などには効果がありません。AEDの使い方は非常に簡単です。機械の電源を入れ、備え付けの電極パッドを傷病者の胸部に心臓を挟むような位置に貼り付けケーブルを本体に装着します。そうするとAEDが自動的に傷病者の心臓のリズムを解析し、致死的な不整脈が確認されたら電気ショック(除細動)のボタンを押します。この際に救護側の人間が機械や傷病者に触れていないか確認します。
  4. 早期の病院搬送

 

この4つが途切れなく行なわれることで、救命につながります。

 

人工呼吸の仕方に自信がなかったり、吐物などで口周囲が汚れていたりして人工呼吸に抵抗がある場合には、心臓マッサージだけでもかまいません。成人では、人工呼吸と心臓マッサージを併用した場合と心臓マッサージのみの場合を比較すると、救命率に差がないという報告もあります。

 

一番良くないのは「何もしないこと」です。とっさの出来事に対応できるように講習会に参加したり、日頃からシミュレーションを行っておくことも重要です。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.098(2007年05月21日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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