AsiaX

シンガポール子会社の事業を縮小したため、余剰資金が発生しています。減資を行って親会社に資金を返還したいと考えていますが、どのような手続きが必要でしょうか。

シンガポールでは、以下の何れかの方法により減資を行うことができます。

 

 

過去には裁判所命令がなければ減資することはできませんでしたが、2006年1月に発効した会社法改正により、裁判所命令によらずに減資することも可能になりました。

 

裁判所命令によらない減資を行う場合、以下のような手続きを踏まなければなりません。なお、手続きは、公開会社と私会社とでは若干異なりますので、ここでは私会社について説明します。

 

  1. 取締役会にて臨時株主総会を招集する決議を可決します。
  2. 会社の全ての取締役が減資に関する支払能力表明書に署名します。支払能力表明書とは、取締役の意見として、会社に債務を支払う能力があることを表明する文書です。支払能力表明書は、株主総会の議決日の直前15日以内に作成されたものでなければなりません。
  3. 臨時株主総会にて減資を承認する決議を可決します。
  4. 株主総会の議決日から8日以内に、内国歳入庁(IRAS)の所得税検査官に決議の文面及び議決日を含む決議可決の通知を送付します。
  5. 債権者は、会社の減資に対して異議がある場合、株主総会の議決日から6週間以内に裁判所に決議無効の申し立てを行うことができます。会社は、債権者が無料で支払能力表明書を閲覧できるように、株主総会の議決日から6週間に亘り会社の登記事務所に支払能力表明書の謄本を用意しておかなければなりません。
  6. 株主総会の議決日から6週間以内に債権者による決議無効の申し立てが行われない場合、議決日から6週以後且つ8週以内に、以下の文書を会計法人監督庁(ACRA)の登記官に提出します。 

なお、議決日から6週間以内に債権者による決議無効の申し立てが行われた場合には、申し立ての棄却又は取り下げ等による無判決により異議申し立ての手続きが終了した後に、裁判所の命令書の謄本を含む所定の文書をACRAに提出することになります。

減資の決議および減資は、上記の提出書類に基づきACRAの登記官が減資を登記した時点より発効します。