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業界動向

2005年3月7日

人材紹介業界動向

シンガポールの雇用環境

不況や新型肺炎(SARS)により経済が停滞した2003年から回復した昨年は、8.4%の国内総生産(GDP)成長を遂げた。これに伴い、失業率も昨年12月現在で3.4%まで低下し、新規雇用の創出も増加している。求職者百人に対する求人件数は、2004年7〜9月期で29件だったのが、10〜12月期には42件まで上昇。

 

2004年通年の雇用数は6万6千件で、このうち70%はサービス部門(ホテル、貿易、物流、通信、金融)などからだった。 また昨年は、特に電子、バイオ医療、物流、石油化学分野での外国直接投資が増加し、研究開発(R&D)施設や、地域統括本部(HQ)の設置にあてられた。 昨年の外国直接投資により、今年21800件の新雇用が創出される見込み(表参照)で、このうちのおよそ70%が専門職や技術職。 国内だけでは、高度の技術や管理職レベルの能力を有する人材が不足しているため、政府は海外からの有能な人材流入に積極的で、EPやPRなどのビザ制度も確立されている。

 

企業が求める人材とその傾向

日系企業が求める日本人は、事務などの一般職から営業、物流、エンジニアリング、中間管理職など幅広い。特に最近は、アジア全域を担当する営業職の需要が増大している。 一方、欧米企業など非日系企業からの日本人雇用の需要がここ3年ほどの間で増加しており、またその求める人材も変化してきている。 シンガポールに進出している欧米の多国籍企業(MNC)7千社のうち、4千社が、日本を含むアジア全体の地域統括本部(HQ)をシンガポールに設置している。以前、アジア各国に支店や営業所を構える多くのMNCは、各国毎に異なるシステムで運営していた。 最近では、HQを設置し、経理、カスタマーサービス、物流、ITヘルプデスクなどのシステムを統一して管理、運営することにより、経費削減を行う企業が増加している。

 

HQのあるシンガポールを拠点に、日本の顧客に対するカスタマーサービスなどを統括して行うため、この業務を担当する日本人が必要となる。 外国直接投資により創出されるHQでの新規雇用は、3200件が見込まれており、前年(1600件)から倍増。 また、今後日本進出を計画している欧米企業は、日本での営業経験豊富な人材や、日本進出時の幹部候補をシンガポールで募っている。これは、会社の方針やビジネス・プランを理解させ日本進出時の即戦力となるように育成するためで、非常に期待されるポジションだ。 このようなポジションには、経験はもちろんのこと、さらに必要なのは英語力と非日系企業の社風やビジネス習慣への適応力。

 

なぜ紹介会社の利用が増加しているのか

企業にとって経費削減は、重要課題。人事部は採用だけでなく、他の業務も扱っており、採用にはかなりのコストと時間がかかる。また新聞などで数回求人広告を出しても優秀な人材が応募してくるとは限らず、非効率な業務はアウトソース(外部委託)する傾向が強まり、採用に関しても専門家である紹介会社にアウトソースする企業が増加している。これは、政府のアウトソース活用促進政策とも一致する。

 

日系企業は、地元紙を見て応募する日本人があまりいないため、直接的な求人広告を出さず、紹介会社を利用するのが、ほとんど。 紹介会社は雇用に関する様々なデータを保有、分析しており、依頼企業のニーズを的確に把握し、登録者のスキル、能力を生かせる仕事を紹介する。業務内容だけでなく、特に非日系企業の場合は、適切なビジネス環境かどうかも、重要な要素だ。 また最近の傾向として、タイ、インドネシア、マレーシア、中国、香港などアジア各国とのネットワーク(ウェブサイトなど)を持つ紹介会社も増加しており、各国の情報や傾向などがさらに利用しやすくなり、アジア諸国での就職のチャンスが増えている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.034(2005年03月07日発行)」に掲載されたものです。

取材協力=Pasona Singapore

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