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この度、シンガポールの子会社に取締役として赴任することになりましたが、取締役への就任にあたり留意しなければならないことについて教えてください。

シンガポールの会社には、常時1名以上の取締役(そのうち少なくとも1名はシンガポール居住者)が必要とされています。取締役は、18歳以上の自然人で、完全な法的能力を有する者でなければなりません。取締役は、会社の経営を担う重要な役職であるため、取締役としての責任を負う能力がないと考えられる人については、会社法により取締役への就任が禁じられています。以下のような人は、取締役として不適格者であるとされています。

 

 

取締役の就任にあたっては、以下を含む会社法および慣習法上の義務および責任を十分に理解し、遵守することを宣誓しなければなりません。

 

 

取締役は、会社との利害の対立を避けることが求められているため、対立する可能性のある利害を有する場合には、取締役会において開示する義務があります。開示が要求される利害は、以下を含みます。

 

 

取締役が会社法に規定される取締役としての義務を怠った場合、会計企業監督庁(ACRA)は、取締役に対して会社法違反による法的手続きを取ることができます。また、会社や株主は、取締役の職務怠慢による損害について賠償請求訴訟を起こすことができます。

 

取締役としての義務の不履行による会社法違反のうち一般に見られるものとしては、以下のようなものが挙げられます。

 

 

ACRAは、会社法の遵守を徹底するために、新たにACRAのウェブサイト上の登記会社一覧に各会社の法令遵守の状況や次年度の定時株主総会開催期限を掲載するようになりました。

 

法令遵守の徹底に伴い、今後取締役の責任が益々厳しく問われるようになるでしょう。取締役への就任にあたっては、これらの義務や責任を十分に理解した上で引き受ける必要があるでしょう。