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弊社はシンガポール現地法人ですが、グループ再編に伴い、事業をマレーシアの兄弟会社に移管することになりました。シンガポールの会社については、新規事業を立ち上げる話もあり、清算せずにしばらく休眠会社として維持したいと考えています。 休眠会社の会計・税務上の留意点について教えてください。

会社の営業を停止し、すぐに清算等を手続きを行わない場合には、休眠会社として維持することができます。休眠会社に関して、シンガポール会社法では、会社が以下の何れかの状態にある場合、会計監査人による法定監査について免除すると定めています。

 

 

ここで言う休眠状態とは、単に営業を停止しているだけでなく、会社に会計上の取引が一切発生しない状態であることを意味します。例えば、営業は停止しているものの、会社には定期預金があり、利子所得を得ているような場合には、休眠状態とは言えません。但し、以下に関する取引については、会社を維持するための最低限の取引であると見なされ、上述の会計上の取引には含められません。

 

 

上述の要件を満たす休眠会社は、法定監査については免除されますが、未監査の法定決算書を作成し、登記する義務については免除されません。従って、これまで通り、監査を受ける以前の法定決算書を作成し、取締役がこれを承認した上で、定時株主総会を招集し、そこで株主の承認を得る必要があります。その後、定時株主総会の開催日から1ヵ月以内に、年次報告書と併せて決算書を登記しなければなりません。なお、2007年4月30日以後に終了の会計年度の決算書については、休眠状態であってもXBRL形式により登記する必要があります。

 

さて、休眠会社の税務上の取り扱いに関しては、原則的には法人所得税申告書(Form C)の提出が義務づけられていますが、会社が以下の要件の全てを満たす場合には、申告免除を申請することができます。

 

 

申請が許可されると、会社にはForm Cが発行されなくなります。

 

上記の免除が適用されない場合には、通常通り、Form Cを提出しなければなりません。但し、2007賦課年度またはそれ以後の賦課年度については、会社が休眠状態である場合、Form Cに決算書を添付して提出しなくてもよくなりました。

 

なお、余談ですが、2002年に設立されたシンガポール経済団体連合会(Singapore Business Federation)は、日本の経団連に相当するような団体ですが、払込済資本金S$50万以上のシンガポール会社及び授権資本金S$50万以上の外国会社シンガポール支店について、法律により強制的に加入が義務づけられています。ただし、休眠状態等により、1月1日から12月31日までの1暦年に亘り従業員を一切雇用していない場合には、翌暦年の年会費の支払いについて免除を申請することができます。免除申請は、支払い免除を受けようとする暦年の前年の11月中に提出しなければなりません。該当する会社は、忘れずに期日までに免除申請を提出するようにしましょう。