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シンガポール経済分析

2004年11月1日

シンガポールの金融政策

10月11日シンガポール政府金融管理庁(MAS)は金融政策を発表した。MASは現在、年2回4月と10月に金融政策を発表しており、為替のコントロールを通じて金融政策運営を行っている。為替による経済活動のコントロールとは、好況時にはシンガポール・ドル高を志向しインフレ率の上昇を抑制、逆に不況時にはシンガポール・ドル安を志向するものである。

 
MASは今年4月に引き締めに政策転換しており、今回は緩やかなシンガポール・ドル高を志向する政策(Modest and gradual appreciation)を継続すると表明。好調な経済と徐々に上昇しているインフレ率を勘案して引き締め継続を決断した。今後、大きな環境変化が生じない限り、この政策は来年3月まで維持される。

 
シンガポール政府の用いている適正な為替レートの判断基準は「名目実効為替レート(NEER=Nominal Effective Exchange Rate)」である。NEERは主要国との貿易加重ベースの通貨バスケットで計算されるが、対象となる通貨の内訳や比重は明らかにされていない。緩やかなシンガポール・ドル高という場合、NEERが上昇することを意味する。ターゲットとなる為替変動の範囲は、ある時点のNEERを100とした上下2ポイント程度と見られる。ところで、このNEERの中身は公表されていないものの推測することはできる。例えば、バスケットに占める米ドルの構成比を考えると、2003年のシンガポールと米国との貿易がシンガポールの貿易全体に占める比率は13.6%、さらに、中国・香港・マレーシアの通貨も米ドルと実質的に固定されているため通貨バスケット中の米ドルの構成比を考える際には計算に含めることができ、これら諸国の貿易量合計[表(1)~(4)]は44.1%となる。つまり通貨バスケットの構成の4割以上は米ドルといえる。

 

 

シンガポールの主要国との貿易データ

金額(百万Sドル)構成比(%)
1993200319932003
総額257,076473,907100.0100.0
米州51,39875,30620.015.9
米国(1)46,65264,52018.113.6
アジア155,991306,47360.764.7
中国(2)6,94536,9152.77.8
香港(3)14,70330,4965.76.4
マレーシア(4)39,61277,20015.416.3
日本39,03243,68415.29.2
欧州39,81472,11615.515.2

(出所) Yearbook of Statistics Singapore 2004 よりUFJ銀行作成

 

 

また、近年人民元の為替管理制度の変更に注目が集まっているが、人民元が10%切り上げられた場合のシンガポール・ドル為替相場への効果を単純に計算してみると、中国の貿易額構成比は7.8%なので7.8×10%=0.78ポイント。人民元切り上げのシンガポール・ドル相場への影響はそれほど大きくはなさそうである。但し、中国との貿易額比率は1993年の2.7%から10年間で3倍に増えており今後も増加が見込まれる。人民元の為替相場変動がシンガポール・ドルの為替レートに与えるインパクトは高まっていくだろう。

 

協力=UFJ銀行シンガポール支店
文=経済調査班 北村広明

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.018(2004年11月01日発行)」に掲載されたものです。

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