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シンガポール経済分析

2005年1月3日

2004年回顧と2005年の展望

2004年の回顧

シンガポール経済はSARS(新型急性肺炎)の影響で2003年4~6月期にホテル・レストラン業など内需関連産業が低迷しマイナス3.9%の成長(前年同期比、以下同様)を記録した後、内需の回復と好調に推移した輸出を背景に2004年は1~3月期7.5%成長、4~6月期12.5%成長、7~9月期7.5%成長と高い成長を続けた。2004年通年の成長率は8%程度になる見込みである。

 
失業率は、2003年9月に5.5%と歴史的な高水準を記録したのち、2003年12月~2004年6月まで4.5%と高止まりしていたものの、2004年9月には製造業分野・サービス分野での雇用拡大を受けて3.4%に急低下した。経済成長による雇用環境改善を背景に昇給率は上昇傾向にあり米系人材コンサルティング会社の調査では企業の予定昇給率は2004年3.2~3.4%、2005年3.4~3.9%となっている。

 
2004年は原油価格等の商品価格も上昇した年となった。これを受けてシンガポールでも物価が上昇。シンガポール金融管理庁(MAS)は予防的に4月に金融引締め政策に転換し現在まで継続している。シンガポールでは金融引締めは自国通貨高を意味しておりシンガポール・ドル高が進行した。

 
政治面では、8月にリー・シェンロン首相が誕生。マレーシアとの関係改善・強化が加速した。
以上のように2004年はシンガポールにとって経済面では「良い一年」であった。一方、シンガポールの主力輸出品であるIT関連製品の輸出の先行きには不透明感がただよっている。

 

 

2005年の展望

シンガポールはGDPに占める輸出比率が高く、経済成長は輸出の好不調に大きく左右される。世界のIT製品需要は調整局面入りしており、底打ちは2005年後半になると予想される。それまでの間、シンガポールのIT製品輸出の伸びは鈍化が続く可能性が大きい。またその他の品目の輸出についても、主要国の成長率が2004年より低下する見込みであることから伸びは鈍化するだろう。これにより2005年のシンガポールの成長率は4~5%台への低下が予想される。一方、所得環境好転を受けて内需は堅調な推移を見込む。

 
2005年に注目されるシンガポールのイベントは以下の通り。

  1. 4月予定の金融政策発表時に政策変更はあるか?
    成長率の鈍化、物価上昇圧力の低下を受けて、現在の引き締め政策から中立政策への変更の可能性あり。これは、現在進行しているシンガポール・ドル高の転機となりうる。
  2. インドとの自由貿易協定(FTA)締結
    巨大かつ成長市場であるインドとのFTA締結はシンガポールに恩恵が大きい。特に比較的高関税のインドの関税引き下げが適用される品目をシンガポールで生産している日系企業には該当する品目名と関税引き下げ時期が注目されている。
協力=UFJ銀行シンガポール支店
文=経済調査班 北村広明

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.027(2005年01月03日発行)」に掲載されたものです。

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