AsiaX

日本のネット広告大手が東南アジアを開拓

photo

日本のネット広告大手のセプテーニが初の海外現地法人をシンガポールに設立、4月から営業を開始した。

 

日本国内におけるインターネット広告市場は成長路線を描いているが、その伸び率は年々縮小気味。急伸するアジアの経済成長に伴い、世界的グローバル企業がアジアにおける本社機能や販売拠点を日本からシンガポールに移す動きは顕著だ。近い将来に来る少子高齢化により日本国内の消費市場の縮小が懸念される中で、アジアの市場攻略を視野に入れ始めた企業からの需要に応えるべく、同社はシンガポールに拠点を構えた。

 

「エキサイティングな市場ですね」と目を輝かせるのは、ダイレクターとして赴任した三輪真揮さん。フェイスブック先進国でありスマートフォンの普及率が日本よりも圧倒的に高いシンガポールを中心に、それらの普及の波が東南アジア全域に押し寄せているからだ。

 

スピード感とひねりで独自サービスの確立へ

日本の同業他社だけでなく現地企業や欧米のグローバル企業とのし烈な競争が待ち構えている中、同社は

 

  1. グーグル・アドワーズ(※1)の運用代理
  2. フェイスブックをはじめとするソーシャル・ネットワキングサービスを活用したマーケティング活動の支援
  3. 世界約80ヵ国・地域での広告露出回数が月間最大1,000億回に上るアドネットワーク(※2)の提供

という3つの事業を主軸に、東南アジアの市場開拓を推進していく。

 

出稿主と仕入れ先を獲得するにはグローバル企業や東南アジア各国の広告会社などパートナー企業との密な提携関係の構築が欠かせないといい、赴任まもなくシンガポールのみに腰を落ち着ける暇もなく、香港、台湾、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなど東南アジア各国を駆け回ることに。まずはイーコマースやアプリなどダイレクトレスポンスが取れる分野から攻めていくが、いずれは企業、商品のブランディングに関わるイメージ広告などというウェブやモバイルの媒体だけでは完結しない、マス媒体と連動する事業についても提携広告会社との連携で手がけていきたい考え。「スピード感が第一。全部、同時進行でやっていきます」と苦労をいとわない様子。

 

広告会社は、スタッフの知恵と工夫によってより高い付加価値を生み出す姿勢が一番の財産。画期的なマーケティング企画やツールを次々と打ち出して急成長を遂げてきた同社が創業当時から打ち出している社是の「ひねらんかい」を東南アジア市場でどう体現していくのか興味深い。諸外国の人から日本は元気がないと見られがちの昨今だが、28歳の若さを武器に「熱血漢の日本人がいるんだなと感じてもらえたら」と三輪さん。事業を拡大させ、多国籍なチームづくりと職場環境を整えていく決意だ。

 

※1  グーグルアドワーズ:検索エンジンGoogleの検索結果に連動してウェブ広告を掲載するサービス

 

※2  アドネットワーク:広告媒体となるウェブサイトを多数集めた広告ネットワーク。一挙に広告が配信できるため広告主にとっては高い接触率が期待でき、媒体側は多数の広告主から広告が受注できるというメリットがある