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技術をお金に変える法〈第1回〉ビジネス創出に必要な2つのスキル

1.イントロダクション「技術とは?」

「技術」というと、「何の技術ですか?」と質問されることがあります。確かに技術の定義は広いので、今回は2つの側面からお話します。1つは、いわゆる工業界のテクノロジーとしての技術。もう1つは、個人や法人が習得したスキルとしての技術。現代は、スペシャリストが生きにくい時代です。日本のお家芸だったモノづくりも良い物を造ってさえいれば売れた時代は、完璧に終わりを告げました。しかし、スキルもテクノロジーも重要で、貴重な財産です。そこで、このシリーズでは、以下のような構成で、お話をします。

 

第1回〜2回:ビジネス創出力編
第3回〜6回:モノづくりのテクノロジー編
第7回〜8回:個人・法人のスキル編

 

2.ビジネス創出力

ハーバード大学のクリステンセン教授が、著書『イノベーションのDNA』(翔泳社)で指摘するように、ビジネス創出に必要な2つのスキルは、実行力と発見力です。実行力も発見力も優劣はありません。どちらも必要です。

 

2-1.実行力とは?

実行力は、次の4つの力で構成されています。分析力、企画立案力、導入力、規律ある行動力。事業のライフサイクルの成長期、成熟期、衰退期に必要な力です。
考えているばかりで行動しないと結果に繋がりません。系統的な実行プロセスの構築や、成長期の成果の活用に実行力が活かされます。そして自分がどのスキルが強いタイプかを知る事も大切です。『イノベーションのDNA』のP43〜45の質問事項、もしくは、ウェブサイト(innovatorsdna.com/assessment)で各自、自分のタイプを確認してみて下さい。

 

自分や仕事仲間がどのタイプかを知る事によって、お互いに補完し合う事が重要だからです。日本の中小企業では人財育成に活用し、リーダーがメンバーの役割を決める際に目安としている事例もあります。

 

2-2.発見力とは?

事業のライフサイクルを見る時、導入期と衰退期は特に発見力が求められます。技術やスキルをビジネスに変える場合も同様に、発見力が必要になります。

 

発見力は、次の5つの力で構成されています。
関連づける力、観察力、質問力、実験力、ネットワーク力。

 

発見力の中でも、トップに挙げられている『ものごとを関連づける力』は大切です。ビール工場の製造ラインから発想した回転寿司の例など、一見全く関係の無い異分野を結び付けて、問題解決やビジネスに発展した例は多数あります。スティーブ・ジョブスもこの関連づけ能力が高かったと言われる一人です。大学時代に感銘を受けたカリグラフィの技術をアップルコンピュータのフォントに実用化しています。

 

では、この発見力はどうしたら高められるのでしょうか?次回は、発見力を高める「アイディア発想法」をお伝えします。どうぞお楽しみに!