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技術をお金に変える法〈第3回〉異分野挑戦の法則①~関連づける力とアナロジー~

1.隠れた関係性を類推する

まず、前回9月1日号のクイズを解いていきましょう。

 

問1.穴埋め部分も含めアルファベットの数は12個。12に関連する事柄や単位を書き出してみます。前回の外化の復習です。1ダース、時計の時刻、カレンダー。数字を英語にするとOne, Two, Three, Four, Five……違いますね。でもカレンダーならばJanuary, February, March, April, May, June……あっ、12ヵ月の英語の頭文字JFMAMJJASONDであることを発見!

 

問2.今度は10個。10進法?長さや重さの単位の変化?でも英語です。いや、ちょっと待てよ、アルファベットは英語という思い込みでは?日本語のローマ字表記は?日本語は数え方が特殊です。お皿は、1枚、2枚。本は、1冊、2冊。えんぴつは、1ぽん、2ほん、3ぼん。動物は、1ぴき、2ひき、3びき。あれっ?単位の読み方が、数字によって変化していきますね。何と、1から10の数え方の単位のローマ字。その頭文字、PHBHHPHHHPでした!

 

子供だましだと思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、「関連づける力」には、隠れた共通点や構造、ルールを類推して見抜く練習が必要になります。

 

2.関連づける力とアナロジー

「関連づける力」に欠かせないものが、異なる業種のルールや常識を真似る「アナロジー」の考え方です。アナロジーとは「類推」、すなわち似ているものを推測する力のことで、人間は本能的に持っていると言われています。

 

アナロジーを身に付けるには、自分の専門分野の難しい知識を「たとえ話」を用いて小学生にでもわかるように説明するトレーニングがお勧めです。例えば、熱による樹脂材料の性質の違いを、食べ物に置き換えてみましょう。熱硬化性とは、ゆで卵のように、一度ゆで卵になったら冷めても生卵には戻らないような性質であることに対して、熱可塑性とは、とろけるチーズのように熱が加われば溶けますが、冷めれば再び固まる性質を指します。

 

このように身近な例で説明すると、全く異分野なものでも、共通項や本質を捉えたアナロジーの考え方で、関連づけが出来るようになっていきます。

 

3.アナロジーで対極の市場に目を向ける

企業の商品開発活動では、従来自分たちが戦ってきた分野だけでなく、異なる分野にも果敢に飛び込んで、新しい潜在ニーズを発掘し、成長できる市場を見つけていかなければなりません。次に、いままでと異なる価値を創造するため、別の分野にどのように参入していくかを見て行きましょう。

 

アナロジーを用いて、新たな市場や新製品開発を行う場合、真似る元のアイディアを、なるべく遠くから借りることが有益です。したがって、現在、自社が向き合っている市場の対極の顧客に着目するとよいでしょう。たとえば、これまで男性市場を対象としていたのであれば女性市場、人間ならペット、シニアなら若者……という具合に、まず対極に目を向けるのが肝心です。その後で、対極の顧客では何が隠れたニーズなのかを調査していきます。次回は、異分野での成長市場の見つけ方&技術の活かし方を紹介します。