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プレゼンテーション編〈第3回〉英語プレゼンテーションを成功に導くコツ

英語によるプレゼンテーション。
グローバルビジネスシーンにおいて、その重要性は増すばかりである一方、これを苦手にしている人が多いのも事実です。というのも、やはり日本人には『英語』という大きな壁が立ちはだかるから。「とてもじゃないけど、ネイティブには太刀打ちできない」と尻込みしてしまう人も多いのではないでしょうか?

 

多くの日本人が持っているこの認識を覆すほどの英語プレゼンをした、ある方の事例をご紹介しましょう。
とある精密機器メーカーで英語プレゼン研修を実施したときのこと。事前に聞いていた受講者の英語レベルは様々で、初級者から、ネイティブの人まで、かなり幅がある状況でした。研修の最後に受講者に総括のビジネスプレゼンをしてもらった際、すごく印象的なことが起こりました。
あるエンジニアの方(Hさん)のプレゼンが素晴らしかった。決して英語のレベル自体は高くなく、いわば中級程度。事前の自己申告のTOEICスコアは500点台の後半。なのに、そのプレゼンは、ネイティブを含めた全ての英語上級者を凌駕していたのです。

 

なぜHさんはそんなに優れたプレゼンができたのか?。
まず第1に、シナリオがよく練れており、ロジックが極めてわかりやすかったこと。多くの人は、ついつい、すぐにパワーポイントに向かって資料を作成し始めたりするのですが、彼はそれをしなかったんですね。こちらが提供したフォーマットに沿って、まず筋道、構成を徹底的に時間をかけて考え、作りこんだ。その上で、資料を作成したから、上記のような見事なプレゼンになったのです。
2つめは、事前にリハーサルしまくったこと。10分程度のプレゼンを30回以上「声に出して」練習をしたそうです。そうすることで本番では、ある程度以上スムーズに言葉が口から出るようになり、余裕を持ってプレゼンすることができたわけです。
3つめは、堂々と自信ありげにプレゼンしていたこと。日本人は、謙虚な国民なので、それが高じて、自信のない弱いプレゼンになりがちです。それに関して、Hさんがプレゼン後に言っていたコメントが秀逸でした。「自信はなかったけど、だからこそ敢えて自信ありげに振る舞おうとしました」と。まさに本質をついた言葉です。『自信がある』のと、『自信ありげに見せる』のは、似て非なるもの。仮に自信がなくても、頑張って振る舞うことで、聴衆を少しでも安心させられるし、それこそが聞き手への貢献と考えるべきなのです。

 

Hさんは結局、語学うんぬん以前に、プレゼンそのものに力を注ぐことで、より良いものに仕立て上げることができたわけです。

 

私は常々、『英語プレゼン力=英語力×プレゼン力』であると言っています。
指導経験上、そのウェイトは「英語力50:プレゼン力50」。多くの日本人は、『英語力』にばかり意識が行き過ぎて、『プレゼン力』をおろそかにしすぎる傾向があります。英語はもちろん大事なのですが、母国語でのプレゼンも同じくらい磨くことで、総合点を上げ、プレゼンを成功に導いていけるはずです。