AsiaX

「次の50年も進化し続ける」未来のコミュニケーションのカタチを生み出す企業

 

写真フイルムやレンズなどの製造販売を中心とした富士写真フイルム(現・富士フイルムホールディングス)と印刷機器の製造販売を行うイギリスのランク・ゼロックス(現・ゼロックス・リミテッド)が、1962年に日本での合併事業として始めた富士ゼロックス。3年後の1965年には、アジア圏でのサービスを拡張させるため「富士ゼロックスシンガポール(FujiXerox Singapore Pte. Ltd.)」を設立し、コピー機やレーザープリンターの販売促進のほか、紙文書の電子化やシステム管理化を浸透させ、社内業務の効率化に貢献してきた。設立から50周年を迎え、シンガポールの独立とともに歩んできた同社で現在CEOを務めるバート・ウォン氏に、これまでの歩みや成功の秘訣、今後の展望について伺った。

 

 

 

― 富士ゼロックスシンガポールへの入社時期はいつですか? また、入社したいと思ったきっかけを教えてください。

1980年に入社したので、もう35年も勤めていることになります。入社したいと思ったのは、富士ゼロックスの企業紹介広告を見たのがきっかけでした。かっこいいデザインでインパクトが強く、「この会社で働けば自分の居場所が見つかる、面白いことが待っているに違いない!」と直感したのを覚えています。

 

 

― これまでの仕事の中で一番大変だったこと、うれしかったことは何ですか?

一番大変だったのは、2007年にCEOに就任した直後の時期です。2009年まではリーマンショックなどの影響で景気後退の真っ只中。特に2008年はどれだけ頑張っても大幅に業績が下がってしまったし、コストの削減も実行しなければなりませんでした。しかしそのような時期だからこそ、いろいろなことに挑戦するチャンスが訪れたのだと発想の転換をしました。そこで、人材や製品の開発への投資は惜しまないようにしたり、会社全体の運営方法を大きく変えたりした結果、後に利益を取り戻すことに成功。近年はカラー複合機の販売数が1位(IDC MarketScape調べ)、顧客満足度でもトップ(MarketProbe調べ)になったほか、「優秀な社長がいるアジアの企業(Asia’s Best Employer Brand)」や「優良な職場環境賞(Best Environmental Practices Award)」も受賞することができました。苦労はしたけれど、最後まであきらめずに会社全体を改革して成功を収められたことが一番うれしかったですね。

 

 

 

― 2007年にCEOに就任されてから現在に至るまで、会社を運営するにあたりこだわってきた部分はありますか?

とにかく、お客様と社員の声に耳を傾けることです。お客様が何をどういう風に考えているか、感じているかを十分に理解すること。私自身も会社や商品の概要を説明する時は、言いたいことが相手に必ず伝わるよう努めています。また、社員と私が常に繋がっていられるような職場環境づくりも大切です。各プロジェクトの目的をしっかりと共有して、社内全体の動きがはっきり伝わるよう心がけています。

 

― 富士ゼロックスシンガポールの強みを教えてください。

弊社は紙の印刷のみに留まらず、ビジネスシーンにおける作業の効率化を図り、コミュニケーションが円滑になるサービスも提供しているのが特徴です。例えば、書類を作成してクラウドサービス「SkyDeskCRM」上にアップデートすると、その内容が特定の社員全員に共有されます。いつでもその内容を確認でき、加えてスマートフォンなどのデバイス上でも閲覧できるよう設定すれば、さらに便利になりますよね。このように作業の効率が向上するシステムやコミュニケーション方法を、まとめて提供できるのが弊社の強みです。

― 今年、富士ゼロックスシンガポールの設立から50年という節目を迎えました。これまでの歩みをどのように感じていますか?

心の底からうれしく、そして誇りに思っています。弊社が設立された1965年は、シンガポールがマレーシアから独立した年でもあります。当時のシンガポールは経済的にはあまり成熟していない状態で、街並みも川沿いの風景も現在のように活気が感じられるような光景ではありませんでした。それが今では空港も港も発展してグローバル化が進み、電子機器も大きな進化を遂げました。富士ゼロックスシンガポールも同じです。まっさらな状態から始まり現在まで、色合いや印刷のスピードといった印刷技術を高めただけでなく、サポートサービスの機能性も大幅に向上。売り上げが1位、サービスに関する賞の獲得という栄誉まで手にすることができました。これはお客様のご愛顧と社員の努力なくしては得られなかったこと。この50年、様々なことに挑戦し続けてきた富士ゼロックスシンガポールを信じてついてきてくれた人たちがいたからこその結果だと実感しています。

 

 

― 成功の道を辿ることができた、その秘訣をお聞かせください。

サービスや商品の質を高める技術力と開発力はもちろん、弊社の製品を使用すれば仕事が効率よく進められる、時間を節約できるといったことを、若い世代から高齢者まで幅広い世代の方に実感いただけたことも大きいと思います。もう1つ忘れてはならないのが、成功の道は優秀な社員たちがいなければ成し得なかったということです。彼らは、新しいプロジェクトにも志高く取り組み、高いレベルでの成果を見せてくれました。この団結力がすばらしい!“Can-Do Mentality (やればできる精神)”を持って、成功をもたらしてくれた彼らに感謝しています。

 

 

― 次の50年に向けた目標を教えてください。

インターネットの技術が進歩し、ソーシャルネットワーキングにおけるコミュニティ数も増加傾向にある現代。その多種多様な環境に適応していく取り組みを考えていかなければならないと感じています。ただし、富士ゼロックスシンガポールはどんな進化を遂げても、価値を生み出して大きな影響力を与えていく企業であることに変わりはありません。今後も新しい技術を開発して付加価値を増やし、生産力もサービス力も高めて、業界を引率するマーケットリーダーとしてあり続けること、そして企業としての成長を止めないことをみなさまにお約束いたします。

 

 

― 座右の銘をお聞かせください。

「Play to Win(遊び心をもって勝利を掴め)」です。仕事は趣味として楽しまなければ損だと考えています。仕事が楽しいと心も豊かになるし、その想いはきっと成功につながります。楽しみながら成功を掴んで、幸せになりましょう!

 

 

― 最後に、シンガポール在住の日本人へメッセージをお願いします。

まずはシンガポールでの生活をとことん楽しんでほしいです。シンガポールは日本と異なり多民族国家なので、グローバルな環境で活躍したい人にはぴったりの場所です。しかし、シンガポールは国としてはとても小さい。チャンスはあっても、その規模には限界があるでしょう。ただしASEANという枠で見ると、そこには可能性が大いに溢れています。ASEAN全体における人口は6億人以上。中国の次に世界中から注目を浴びているエリアです。東南アジアはまだまだ魅力を秘めています。みなさんもどうかこの国で、大きな可能性を見つけて成功を掴み取ってください。