シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第2回:なぜドラッカーは日本を訪れ、渋沢栄一を研究したのか?

新時代を創る「帝王學」の教え

2014年5月19日

第2回:なぜドラッカーは日本を訪れ、渋沢栄一を研究したのか?

〜多くのベストセラー作家に影響を与えている『帝王學』の師匠から学んだエッセンス〜
「景気」という言葉に込められた意味をご存知でしょうか?

 

 

なぜ、知の巨人・ドラッカーは55年前に(初来日は1959年)日本に興味を持ち、訪れたのか?彼はいったい何を学ぼうと時間をかけてきたのか、ご存知ですか?

 
答えは創業が飛鳥時代の578年という金剛組ほどではないにせよ、日本には長命企業(100年以上存続している企業の意味)が数多くあったことと、偉大なる経営者がいたことだったそうです。

 

 

その経営者こそが、『論語と算盤(そろばん)』で有名な渋沢栄一(しぶさわえいいち)であり、鮎川義介(あゆかわよしすけ)という大実業家なのです。渋沢氏は資本主義の父と言われるだけあって、大企業を500以上も創ったことは有名ですよね。これに対して、以外と知られていないのが鮎川義介です。彼は「日本産業グループ」を創設した大実業家ですが、武士道と葉隠(はがくれ)精神で自分の財産(子供に跡を継がせず、株も持たない!)も名前すらも残すことを避けた偉人です。彼は中小企業だけでも軽く1万社以上に関わり、大企業については、日産、日立、日本水産、日本テレビなど161社もあります。

 
日本には江戸末期、明治時代にこうした武士道、葉隠精神、道徳と経済の融合などステキな経営の実践者がいたのです。研究熱心で情報網を世界に張り巡らせていたドラッカーは彼らの偉業と背景、理由や哲学を学ぶために来日したのです。スゴイと思いませんか?

 
日本にはこの2人のように卓越した経営者らが他にも多くおり、「道徳ある経営」を実践していたからこそ、ドラッカーが興味を持ち、日本を訪問したのです。

 
ドラッカーがさらに驚いたことがありました。それは100年以上も続いている会社が2万社以上あり、200年以上続く企業は3,000社以上もあったことです。

 
日本は世界に類例のない資本主義をやっているのです。西洋的資本主義と違い、日本的資本主義には、道徳と武士道が入ってるのです。自分の腹を切るほどの責任感というのはその当時、世界に類例がないと、あのドラッカーは自著に記しています。どの本に書いてあるか、勉強になりますので、ぜひ探してみてください。

 
さて、ドラッカーが日本に来て、あれこれ質問をしたわけですが、彼がこだわったのが、『景気』という漢字の意味についてでした。彼は外国人ですから、一つ一つの漢字を日本人のように見過ごさなかったのです。おそらく大半の日本人は『景気』という漢字に込められたメッセージを簡単に見過ごしていますよね。

 
ドラッカーの質問はこうです。
「『景気』とい文字の『景』というのはどういう意味ですか?」
こんな質問をあなたはしたことがありましたか?
ドラッカーの質問に対して、当時の担当者はこう答えたそうです。粋ですね!
「太陽の光が京都の町を照らしています。町を照らす力が『景』という意味です」
続いてドラッカーは質問しました。
「『気』という文字はどんな意味ですか?」
さて、ここで日本人担当者はこんなエクセレントな回答をしたそうです。
「『気』は心と言います。心で町を照らす力、こういう意味です」
いかがでしょうか?
この2つの質問の答えを聞いてドラッカーの理論が変わったわけです。つまり、『あらゆる経済活動は人間の精神活動にあり、政府の管轄下にはない』という理論ができたんです。
もし、ここで、『気』の意味が心(こころ)ではなく、金(カネ)だったら西洋的な発想とほぼ同じだから、理論は変わらなかったでしょう。
日本では景気とは言っても、景金とは言わない。漢字には深い意味があるだけではなく、もの凄いエネルギーを持つメッセージが潜んでいるのです!私たちの先輩方が創り上げた日本的経営スタイル、その真髄をあなたはどこまで理解していますか?
いま、アメリカの経済学者や経営者らは日本的、東洋の禅に基づく経営スタイルに注目しています。この連載では、私が【帝王學】の師匠から学んだエッセンスを今後も紹介していきますね。

スクリーンショット 2015-07-01 19.17.23文=中野 博(なかの・ひろし)

新時代ナビゲーター。30冊(英語、中国語、韓国語含む)の著者&3社の経営者。1991年より『環境』を軸にした時代を創造し、800社以上の企業を指導。2008年より『帝王學』ベースの教育事業にあたり『日本魂』ベースの『信和義塾』を世界に展開中。

 

中野博が実践するWEB紹介

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.2(2014年05月19日発行)」に掲載されたものです。

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