2026年10月20日
シンガポール、低賃金労働者に6~8%の賃上げ勧告 AI人材育成も重視
シンガポールの全国賃金評議会(NWC)は10月19日、2026年12月から2027年11月までの賃金ガイドラインを発表し、月額給与2,800Sドル以下の低賃金労働者に対し、6~8%の賃上げを勧告した。好調な経済成長の成果を労働者に還元するとともに、人工知能(AI)の普及に対応した人材育成を企業に求めている。
NWCは、業績が好調で今後の見通しも明るい企業に対し、対象労働者の月額給与を6~8%の高い水準、または少なくとも135~170Sドル引き上げるよう推奨した。業績が好調でも先行きが不透明な企業には同範囲の中間水準を、業績が振るわないものの黒字を確保している企業には低い水準、または最低120Sドルの引き上げを求めた。
今回初めて、赤字企業についても最低120Sドルの賃上げを勧告する区分を設けた。経営環境に応じた柔軟性を確保しながら、低賃金労働者の所得改善を継続する狙いである。
NWCは、シンガポール経済が予想を上回る成長を示している一方、業種や企業によって業績にばらつきがあると指摘。業績が良好な企業には基本給の引き上げや変動賞与を通じた利益還元を促し、経営が厳しい企業には賃金抑制を認める方針を示した。
また、AIの導入による業務変革に対応するため、従業員の技能向上や職務の再設計、継続的な研修への投資を呼びかけた。
企業が従業員に体系的な研修を提供する割合は、2024年の66.4%から2025年には64%に低下。研修を受けた従業員の割合も52.6%から48.1%に減少しており、NWCは人材育成の強化が必要だとしている。
政府は今回の勧告を受け入れると表明した。ただし、ガイドラインに法的拘束力はなく、実際の賃上げ幅は各企業の経営状況や判断に委ねられる。


