2026年9月21日
シンガポール、海外不動産投資で世界首位 上期87億USドル
シンガポールが、世界の商業用不動産へのクロスボーダー投資で最大の資金供給国となった。総合不動産サービス大手JLLのデータによると、2026年上半期にシンガポールから海外の商業用不動産へ投じられた資金は87億USドルに達し、国・地域別で世界首位となった。
世界的にも国境を越えた不動産投資が急速に回復している。2026年上半期のクロスボーダー商業用不動産投資額は前年同期比56%増の718億USドルとなった。一方、国内取引を含む世界全体の商業用不動産取引額は10%増の6,046億USドルで、海外投資の伸びが際立った。
特にアジアの投資家による海外不動産への資金流出が急増した。アジアからのクロスボーダー投資額は193億USドルと、前年同期の約4倍に拡大。シンガポールがその中心的な役割を担った。
投資先として存在感を高めたのが欧州である。2026年上半期の欧州へのクロスボーダー不動産投資は前年同期比31%増の399億USドルとなった。中でもオフィス市場への資金流入が活発で、ロンドンやミラノなどの主要都市で大型取引がみられた。
シンガポールは国内市場の規模が限られている一方、政府系投資会社や不動産会社、REIT、ファンドなどが世界各地のオフィス、物流施設、ホテルなどへ積極的に投資してきた。実際、アイルランドではシンガポール政府系投資会社GICが参加した物流施設ポートフォリオの取得が、同国の物流不動産として過去最大規模の取引となっている。
シンガポール自身も世界の不動産資金を引き付けている。JLLによると、2026年第1四半期のシンガポール国内の商業用不動産投資額は前年同期比433%増の115億USドルとなり、アジア太平洋地域で最も高い伸び率を記録した。
一方、今後の市場には不透明要因もある。中東情勢などを背景としたインフレ圧力や金利上昇が長期化すれば、不動産投資の資金調達コストが上昇し、2026年下半期の取引を抑制する可能性がある。
それでも、世界の不動産市場でシンガポールは「投資を受け入れる市場」であると同時に、「世界へ資金を送り出す投資拠点」として存在感を一段と高めている。

